研究課題
本研究開発では、ミリ波帯無線通信への応用を目的に高性能・超小型の遮断導波管フィルタを開発するため、新しい有極形平面共振器(周波数選択性多機能膜)を提案し、以下のような研究実績を上げた。(1) 遮断領域で動作する有極形平面共振器の開発:遮断導波管が有する誘導性成分と平面共振器の持つ反共振特性を併用したハイブリッド共振という新しい共振現象を利用し、遮断領域で動作する小型共振器を開発した。その共振器は、オープンループ形状の導体線路と支持基板の誘電体基板からなる非常に簡易な構造である。本共振器を用いることによって、従来の問題点であった不要共振を抑圧しつつ、通過域形成に必要な共振点、ならびに阻止域拡大のための反共振点の両方を単体の共振器で実現した。(2) 高性能な遮断導波管フィルタの設計/試作:有極形平面共振器を用いたフィルタの設計法を開発し、Xバンドで動作する帯域通過フィルタの設計を行った。その結果、比帯域2%の通過域を設計仕様通りに形成し、さらに阻止域においては9GHzにわたって60dB以上の高減衰量を実現した。フィルタ体積としては従来の平面共振器装荷導波管フィルタの30%程度であり、小型化を達成した。また、フィルタの試作・測定でも良好な特性が得られ、本フィルタの設計法の有効性が確認できた。(3) 帯域通過フィルタの等価回路パラメータ抽出技術の開発:以上の研究成果のみならず、共振器結合形フィルタ回路における等価回路パラメータの抽出技術も新たに提案した。これによって、従来評価が困難であったフィルタの入出力直接結合の抽出評価に初めて成功した。これを活用することによってフィルタの設計精度が大幅に向上した。本研究によって、立体回路の低損失性と平面回路の高い設計自由度を併せ持つ小型かつ高性能フィルタが実現された。今後、本研究成果を基にマイクロ波・ミリ波フィルタの一層の発展が期待できる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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