研究課題/領域番号 |
23760309
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
冨木 政宏 静岡大学, 工学部, 助教 (60362183)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 光導波路 / 光インターコネクション / 光スイッチ |
研究概要 |
光誘起自己形成技術によって形成した導波路にヒータを付与することで光スイッチの実現を目指し、まずは使用する材料の屈折率温度依存性の評価を行った。当初の予定では申請者が研究開発した薄膜導波路に回折格子を設けm-line法によって測定することを考えていたが、光誘起自己形成に用いている光硬化性樹脂にインプリントにより回折格子を設けることが困難であった。そこで光ファイバを挿入したまま材料を硬化させ、ファイバ端面からのフレネル反射の光強度変化を測定することで屈折率変化を算出した。その結果、従来の樹脂材料であるPMMAやPCに比べ若干変化は小さいものの、ほぼ線形の変化をすることが判明した。これは材料の熱膨張が小さいためで、線膨張係数の計測結果と良く一致した。以上のことから、光誘起自己形成に用いる材料は熱光学スイッチとして用いるには変化が小さいため動作電力・応答速度を改善するためには構造を工夫する必要があるが、熱的に安定なため実用に向くことがわかった。 2本同時形成に関しては、当初2台のレーザを用意し、独立に制御することで形成を行う予定であったが、1つのLDでもある程度の歩留まりを達成できたので、2×1構造の形成に取り組んだ。マスクを用いて2つの導波路を近づけることはできたが、合波させることが未だ出来ていない。その原因としてファイバの設置時のズレによることが形成後の形状観察により判明した。従ってファイバガイド等を設けることでこの問題は解決できることがわかった。 波長フィルタの設計、作製・評価に関しては、光誘起自己形成導波路に位相マスクを用いて回折格子を形成することでブラッグ反射型波長選択フィルタを設計・作製した。得られたフィルタを評価したところ選択比20dBを得ることができた。これは実用化可能な数値である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用する材料の屈折率温度依存性の評価に関しては当初予定していた方法とは異なるものの問題無く測定することができた。得られた結果もほぼ線形の変化であったため、ON-OFFのデジタルスイッチだけでなく連続的に強度が変化する変調器の構成も可能であることが判明した。 2本同時形成の再現性向上については、当初2台のLDを用意して独立に調整することで行う予定であったが、1つのLDによる形成でも歩留まりが大幅に改善したため、2×1構造の形成に取り組むことができた。 波長フィルタの設計と作製・評価に関しては、光誘起自己形成導波路形成後に位相マスクによる回折格子形成によりブラッグ反射型波長選択フィルタを設計・形成し、評価を行った。選択比が20dBを超えることが計算・実験の双方から得ることができた。この20dBという値は実用化可能な数値である。
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今後の研究の推進方策 |
2×1構造の形成を目指し、ファイバ保持機構の導入とマスク露光の条件の最適化を目指す。またファイバ保持機構により出射側の位置合わせも可能となるため、反射型だけでなく透過型波長選択フィルタの実現を目指す。 回折格子による波長フィルタの温度依存性の評価を行う。その結果を踏まえてアクティブ波長選択フィルタの設計・作製を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ファイバ保持機構とマスク等物品購入および国際会議1、国内会議2、学会誌投稿1を予定している。
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