CMOSチップを搭載した刺入型の刺激,計測デバイスは,昨年度までに実装条件の最適化等を実施し,試作に成功した。試作デバイスを生体模擬材料である生理食塩水,および生理食塩水ゲルに浸漬,刺入して動作テストを実施した所,動物実験に供試可能な性能を有して居ることが明らかになった。 動物実験に向けた準備として,試作デバイスの駆動・計測システムを構築した。動物実験時に要求されるGND分離したフローティング刺激が可能な構成とし,DCリーク電流が流れない安全機構も組み込んだ。微弱信号を計測するため,ハードウェアの要所にノイズ対策を施し,駆動・計測用の専用プログラムを開発した。 試作デバイスの最終的な評価として,ラットを用いたin vivo試験を実施した。麻酔下のラット脊髄に試作デバイスを刺入した。試作デバイスは計測モードで動作させ,計測出力端子を外部フィルタ及び計測アンプを介して,記録装置に接続した。またラット側部の末梢神経に刺激用電極を装着し,電気刺激装置に接続した。末梢神経を電気刺激した結果,脊髄に刺入した電極で,誘発電位の計測に成功した。試作した刺入デバイス上に形成した4電極で計測したそれぞれの波形の潜時が等しいことから,全チャンネルで誘発電位が計測出来ている事を確認した。また,4電極それぞれにおいて異なる誘発電位波形が得られたことから,各チャンネルが独立して計測出来ている事も確認した。デバイスの刺激機能についても試験を実施し,脊髄の電気刺激を行った。その結果,末梢神経の活動電位に応答が見られ,刺激機能についても動作が実証された。
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