(1) 分布型LPFGセンサの作成と評価: それぞれ異なった共振波長で光損失ピークを持つ複数のLPFGを単心光ファイバに多重することで分布型LPFGセンサの作成を行った。分布型LPFG作成で最も重要なことは、各共振ピーク間の波長間隔をいかに確保するかであった。照削は共振ピークを短波長側にシフトできる技術であるがシフト量が小さいこと、光ファイバが非常に脆弱化するなどの課題があり、実際照削を用いた結果、十分な波長間隔を確保するには到らなかった。これを打開するためLPFGのグレーティングピッチを変更する手法を採用した。CO2レーザを用いたLPFGのグレーティングピッチと共振波長の関係は未発表であったため本研究にて明らかとした。この関係に基づき異なった共振波長に光損失ピークをもつ5つのLPFGの作成に成功した。さらにこれらを単心光ファイバに多重することで分布型LPFGの作成に成功した。隣接LPFGに70℃の温度差を与えた環境においても共振ピークを明確に判別でき5ヶ所の温度をセンシング可能であることを確認した。LPFGの平均温度感度は0.0512nm/℃であった。 (2) 石英微細粒の再ガラス化: CO2レーザ照射により石英板に石英微細粒が白く堆積する現象を発見した。本年度は石英微細粒を再加熱し再ガラス化する加熱法を検討した。石英微細粒に対しC02レーザ再照射、光ファイバ融着接続機のアーク放電を実際に行ったが再ガラス化できなかった。明確な成果を得られなかったが、再ガラス化技術は光ファイバへの部分的ガラス追加技術となり光ファイバの特性制御を可能とする新技術となりえると考える。 (3) LPD-FG間の光結合: マッチングオイルをLPD-FG間に付加した状態を作ったが、本年度も光結合には到らなかった。近接LPD-FG同士の照削面を安定的に制御する機構の実現に大きな課題が残った。
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