研究課題/領域番号 |
23760317
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
陳 春平 神奈川大学, 工学部, 助教 (20440266)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 超広帯域(UWB) / UWBフィルタ / フィルタの合成理論 / バンドパスフィルタ / フィルタの理論設計 / フィルタ / 超広帯域無線通信 |
研究概要 |
本研究は次世代無線システム用超広帯域(UWB)バンドパスフィルタを設計するため、比帯域幅40%以上のUWBバンドパスフィルタの一般的な設計理論を構成する。UWBバンドパスフィルタにおける合成理論の研究において、従来の集中定数(L、C、Q値)に基づいたフィルタの設計理論は、比帯域幅が30%までに制限されていることが常識である。以下、研究者が23年度に下実施した研究とその成果を述べさせていただく。 研究者は比帯域幅40%以上の優れた特性を持つUWBフィルタを設計するため1.分布定数理論に基いて、UWBバンドパスフィルタに適用可能な多段フィルタに対する高次等リップルフィルタリング関数の一般式を導出した。特に、1から9次までのUWBフィルタの特性方程式の具体的な数式を導出した。2.先端短絡スタブと平行結合ステップインピーダンス共振器を組み合わせることにより、新しいUWBフィルタを合成し、試作した。従来の単純なステップインピーダンス共振器によったUWBフィルタと比べ、先端短絡スタブを追加することにより、同じ周波数特性を得るため、必要なフィルタのサイズは約25%ぐらい縮小できた。3.ミリ波帯域でUWBフィルタを実現するため、SIW線路の基本回路パラメータを数値計算手法により調べた。空気媒質に誘電体円柱を立つタイプが誘電体媒質に空気円柱を立つタイプより、電磁波の閉じ込めが強いという結論を明らかにした。 研究成果の一部を論文に纏め公開している. 電子情報通信学会・エレクトロニクスシミュレーション研究会専門委員会より、2011年度 若手部門 優秀論文発表賞を授与されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に照らして、現在までの研究の達成度を説明する。1.UWBフィルタの合成理論:(1)回路構造、理論関数等の調査(23年第1四半期):IEEE Xplore、CiNiiなどで調査した。 (2)等リップル型UWBフィルタの実現(23年第2四半期):達成、結果を研究会、国際会議にて発表した。(3)楕円関数UWBフィルタの構造、理論関数(23年後半):Matlabにより、擬似楕円関数UWBフィルタ設計用理論関数を導出した。2.SIW構造の設計、高性能UWBフィルタの設計開発: (1)SIW等の調査、研究手法の決定(23年前半)、(3)60GHz帯空気ホールに基づいたSIW構造の基本回路パラメータを算出(23年後半):文献を調べた上、SIW構造のバンドダイヤグラムを計算するためのプログラムを作成した。(2)小型化手法、基板材料、加工技術等を調べた上、基板を購入(23年前半):Arlon社とRogers社の基板を購入した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に書かれている研究計画に従って、研究を遂行する予定である。(1)UWBフィルタの合成理論の研究について、申請者が提案した新解析法により、UWBフィルタの等価回路の各パラメータの合成を行う。更に、研究結果を整理し、学会へ論文投稿する予定である。(2)SIW構造の設計および(3)高性能フィルタの設計開発について、23年度に求めたSIW構造のバンドダイヤグラムに基づいて、新しいミリ波フィルタを開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度において、フィルタを小型軽量化にする為、設計により出来る限り高誘電率の基板を選択しなければならない。そのため、加工フィルタの精度、数等により、基板の購入と加工費をお願いする。国内と海外旅費については、研究課題に関する一番新しい情報を公表すると共にまた得る為に、一定の金額が必要となる。
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