研究課題/領域番号 |
23760324
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小室 信喜 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (70409796)
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キーワード | 省電力亜k / 通信品質 / クロスレイヤ / WPAN |
研究概要 |
人を中心として10から20メートル程度の距離の通信によってさまざまな利便性や快適性などを提供するネットワークとして期待が高まっているWireless Personal Area Network (WPAN) は,現在の情報通信環境を一変させる可能性を持っており,ユビキタスネットワーク社会実現のための重要技術となっている.本研究提案の発端は,符号多値変調方式を用いるCDMA通信はパケット長を短縮できるため,パケット衝突確率,遅延や再送回数を減らすことができ,省電力化につながると期待できる点にある.提案方式は,DS/SSを用いるCDMA通信と比較し,2倍以上のスループットを達成できる可能性がある一方,符号間干渉や遠近問題によるビット誤り率の低下が問題となる.これに対し,物理層の情報を元にMAC制御を適切にかけることによって,ビット誤り率の低下を解決できるだけではなく,省電力効果も期待できる.本研究提案は,MACレイヤと物理レイヤの2つのレイヤから同時に通信品質向上,省電力化に対するアプローチをかけ,相乗効果を図るものである.符号多値変調方式とスリープ制御を適切に組み合わせることにより,消費電力の大幅な削減だけではなく,スループットの向上,データ到達率などの通信品質向上が期待できる.しかし,そのようなクロスレイヤによって,通信品質向上と省電力化を図るという発想は,本申請人独自のものであり,世界的にも同様なアプローチは見受けられない.本研究では,この研究を発展させ,本研究の有効性を示し,システムの最適動作について検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,通信品質を考慮した省電力化方式実現を目的として,下位層の情報によって適切なスリープ制御を行う方式を提案した,クロスレイヤで省電力化と性能向上を図る具体的方式を提案した.特に,以下の2点に着目した研究を行う.(1) 通信品質を考慮したスリープ制御方式を確立した,(2) 省電力効果を明らかにした. (1)では通信品質を考慮したスリープ制御方式を確立し,その基本性能を導出した. (2)では,スリープ制御を導入することによる省電力効果を評価した.さらに,通信品質の評価として遅延性能を示したシミュレーションにより,その性能を明らかにした. 提案方式の消費電力および遅延性能を理論解析、シミュレーションの両面から評価し、これらの結果が一致することから、解析とシミュレーションの結果の妥当性を示した。さらに(1),(2)の結果から,消費電力削減と通信品質保証はトレードオフの関係があることを明らかにした.スリープ制御方式の考案およびその基本性能の導出に成功したことから,研究の目的は概ね達成できているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の成果を踏まえ、通信品質と消費エネルギー効果のトレードオフの関係を克服するようなシステムについて検討する。特に、平成24年度に導出した遅延性能と消費エネルギーの解析式を用いて、システムの最適動作状態を求めることによって、性能改善を図る。 シミュレーションおよび実験により提案方式を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,解析,シミュレーション,実験を行い,性能評価を行う.ホームネットワーク用センサ数台を購入する予定である. 研究成果の積極的な対外公表を進めていく.そのため,旅費として使用する.国内2回,海外1回を計画している.また論文投稿も積極的に行い,別刷りに使用する.
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