研究課題
本研究課題では、周波数軸上での強度・位相変調による光パルス合成技術を利用して、ダークパルス、特にダークソリトンの合成とその非線形光学応用について検討を進めている。ダークパルスとはある一定の光強度背景中に強度がゼロとなる窪み部分のことを指し、このような形状から “ダーク”パルスと呼ばれる。研究代表者は通信波長帯での光パルス合成が可能な光パルスシンセサイザを用いて、平成23年度までにダークパルスを高精度に生成することが可能となった。特にダークソリトンに関しては、その前後で光の位相がπ変化することも確認している。平成24年度はダークパルスが誘起する非線形現象として、ダークソリトンの光ファイバ中の無歪み伝搬を実験的に検討した。光パルスが光ファイバ中を伝搬する際に、そのファイバの分散と光パルスによる自己位相変調の効果が相殺される時、パルスは形状が変化せずに伝搬するソリトンとなる。通常の光パルス(ブライトパルス)は異常分散中でソリトン伝搬するが、ダークソリトンは正常分散ファイバ中で同様の現象を示す。ダークソリトンはその形状の特殊性から生成が困難であるため、実験的な検討がされてこなかった。光パルスシンセサイザで合成したダークソリトンを、正常分散ファイバに強度を変化させながら伝搬させて、その出力波形を測定した。理論通りの光強度でソリトン伝搬することを実験的に確認した。そして、光強度をさらに上昇させると、ブライトパルスと同様に高次ソリトン圧縮によりパルス幅が減少すると共にスペクトルが拡大された。また、ダークソリトン前後でのπの位相変化はソリトン伝搬後も維持されることを確認した。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Optics Express
巻: Vol.21, No.3 ページ: 3001-3009
DOI:10.1364/OE.21.003001
巻: Vol.20, No. 25 ページ: 27820-27829
DOI:10.1364/OE.20.027820