平成25年度には,空間結合MacKay-Neal (MN) 符号が二元消失通信路(binary erasure channel)において通信路容量を達成することを密度発展法による数値計算により示した.この証明には,複雑な関数の不等式の評価が含まれている.また,個々の一般消失通信路(generalized erasure channel)に対する証明をするには同じように複雑な関数の不等式を評価する必要があった. 平成26年は,BECよりも一般的であるGECにおいて空間結合MN符号が対称情報レートを万能に達成することを証明を行った.ポテンシャル閾値未満で空間結合MN符号が復号可能であることはすでに証明しているので,GECにおけるMN符号のポテンシャル閾値がGECの対称情報レート閾値に一致することを示せばよい.ポテンシャル閾値を求めるために必要な関数の不等式の評価を,BECに対して既に評価された不等式に帰着させて全てのGECについてまとめてすることができた.これにより,BECに対する証明のように複雑な関数の評価を個々のGECに対してする必要なく,空間結合MN符号がGECの対称情報レートを万能に達成できることを証明した. この成果により,単純な無記憶通信路だけ適用されていた従来の誤り訂正符号に対して、広い範囲の記憶を有する通信路に対して高性能な誤り訂正を適用する方法を与えることができた.この成果は,IEEE International Symposium on Information Theoryに投稿され採録された.
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