研究課題/領域番号 |
23760333
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 高至 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30423015)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 移動体通信 / ヘテロジニアス / 自己組織化 / ゲーム理論 |
研究概要 |
無線ネットワークは、異なる性質の無線通信が共存するヘテロジニアス無線ネットワークになりつつある。このようなヘテロジニアス無線ネットワークでは、干渉や衝突の制御がスペクトル利用効率に大きな影響を持つ。これら干渉や衝突といった無線通信に特有の問題は相互作用に起因するものと捉えることができ、相互作用を数学的に扱うゲーム理論の知見を元にモデル化が可能である。本研究では自己組織化に適したゲーム理論をヘテロジニアス無線ネットワークに適用し、その効果を検討する。 平成23年度の計画は、初期検討として、ゲーム理論を応用した自己組織化送信スケジューリングをヘテロジニアス無線ネットワークに適用した場合、その効果の高い条件を明らかにし、電力制御など他の制御と組み合わせた場合の効果の評価を行うことであった。大きな成果を二つ述べる。(1)ゲーム理論を用いたスケジューリングのヘテロジニアス無線ネットワークへの適用 ポテンシャルゲームというゲームを応用した干渉制御手法が知られており、これを拡張してヘテロジニアスネットワーク向けのチャネル選択手法を提案し、その効果を確認した。この手法は分散的に行われるものの収束性が保証されている点に特徴がある。(2)他の制御との同時制御 (1)で提案したチャネル選択に加え、適応的基地局選択(セルサーチ)を同時に行う手法を提案し、その効果を確認した。送信電力制御などとの組み合わせは従来知られていたが、基地局選択との同時制御を行った際にも収束性が確認されることは、新しい成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初はチャネル選択と電力制御との同時制御の検討を考えていたが、これは既に他の研究者によって検討が進められていたため、基地局選択との同時制御に変更した。これにより、当初の計画以上に進展した。また、少数派ゲームなど平成23年度に計画していなかったものについても検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度に引き続いた研究に加えて、少数派ゲームなど新たなフレームワークを用いた検討も進める。例えば、少数派ゲームのフレームワークの中では、少数派の数が大きくなる、言い換えると少数派と多数派の数が均衡するためのアルゴリズムを提供している。無線通信においても干渉が大きすぎない状況でできるだけ通信数を増やすことがスペクトル利用効率の向上に繋がる。このようなシナリオに少数派ゲームのアルゴリズムを応用することで、ヘテロジニアス無線ネットワークにおいてスペクトル利用効率の高い方式を提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費として理論検討を進めるためのソフトウェア、書籍を計画しており、備品費としてソフトウェアを動作させるためのノートパソコンの支出を計画している。旅費としては国内計3回程度の成果発表旅費を計上している。その他、成果発表のための英文論文校閲費、成果投稿料を計上している。各費目が全体の研究費の90%を超えることはない。
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