研究課題/領域番号 |
23760335
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
衣斐 信介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10448087)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 通信路符号化 / 連接符号化 / 繰り返し復号 / EXIT解析 / 適応制御 |
研究概要 |
本研究課題は、ディジタル符号化と無線通信路のモジュールが限定された場合に、それらの不整合性を取り除くためのアナログ符号化を適切に構成することで、通信システム全体の最大性能を引き出す方式の開発を目的としている. 平成23年度では、二つのディジタル符号を用いた連接符号と通信路状態の不整合性を取り除くため、連接符号にアナログ的な要素を取り入れる手法を検討した。連接する符号の片方を低密度生成行列(LDGM)符号の一種とし、Linear Dispersion Code(LDC)の概念を踏襲して、LDGM内の排他的論理和演算(XOR)の個数を通信路状況に応じてアナログ的に制御することで、繰り返し復号機能を持つ受信機の信号検出精度を大幅に改善可能であることを確認した。その際、XORの最適個数が定式化したExtrinsic Information Transfer (EXIT)特性により、通信路状況が分かれば容易に求まることも明らかにし、厳密なEXIT解析の理論体系を明確にした。さらに、その概念を多対多通信に拡張し、どのユーザとどのユーザがアナログ的に調整した連接符号化構造を形成するべきかという問題に対して、前述した定式化したEXIT特性により得られる知見がその問題解決に有効であることを確認した。 一方、中継伝送において、中継信号をディジタル値とするのではなく、中継器で受信した信号の信頼性に応じてディジタル値とアナログ値に切り替える手法を提案し、その有効性も確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度では、通信路状況の変化に応じて、アナログ的な調整を行う連接符号化の検討が主課題となっているものの、研究実績の概要で述べたとおり、最適なアナログ符号の設計がEXIT解析により可能であることを確認し、その有効性を既に確認しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ディジタル-アナログ連接符号化に対して、さらに変調方式と符号化率のパラメータを導入し、通信路状況に応じたアナログ構造と符号化変調のEXIT解析に基づく結合適応制御について検討を進める。さらに、送信ユーザが分散配置されている環境において、その結合適応制御を行うことで、システムのスループットが改善可能であることを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では、これまでの研究成果を国際会議等で発表するために、多くの研究費の大部分を旅費に割り当てる。また、論文誌に掲載するための別刷り代にも研究費を割り当てる。
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