研究課題/領域番号 |
23760341
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
谷川 陽祐 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90548497)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 無線ネットワーク / ゲートウェイアクセスネットワーク / チャネルアクセス制御 / ネットワークコーディング / マルチチャネル化 / QoS制御 |
研究概要 |
計画通り、1つのゲートウェイと複数の無線ノード間の1ホップ通信に注目し、以下の通り研究を進めた。なお、性能評価は全て計算機シミュレーションにより定量的に行った。1.ネットワークコーディング(NC)伝送とQoS制御の連携方式の確立伝送パケットをIEEE 802.11e EDCAに基づき要求品質に応じて優先度クラス分けし、クラス間で連携して優先度に関わらず伝送遅延およびスループット性能の向上に有効なパケットを選択、コーディングする規律を確立した。さらに、コーディングされたロスパケットを新規パケットより絶対優先して送信するが、送信権を獲得したクラスのパケットがコーディングされてない場合はコーディングパケットを送信しない(EDCAのポリシー準拠)というパケット送信スケジューリングを規定した。性能評価により、クラスごとに独立してコーディング、送信を行う方式と比較して、要求遅延、スループット性能を満たしつつ伝送可能なフロー数の向上を確認した。2.ゲートウェイノードとの通信に適したマルチチャネル化方式の確立ゲートウェイ(同時にNチャネル利用可)と無線ノード(同時に1チャネル利用可)間の通信について、無線ノード群の各チャネルへの分配規律を確立した。具体的には、各無線ノードは制御フレームRTS/CTSの傍受量から隠れノードを判定する。ゲートウェイは、各チャネルの通信負荷および無線ノードから隠れノード情報を収集し、各チャネルの通信負荷と隠れノード度合の積が最小となるようチャネル分配を行う。性能評価により、ランダムにチャネル分配を行う場合と比較して通信容量の向上を確認した。このように、NCやマルチチャネル化の単純適用と比べ、1.のクラス間連携、2.の通信負荷均等化や隠れノード影響の最小化というインテリジェントな制御を加えることで、さらなる性能向上を示したことが本研究最大の意義である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りに基本提案方式の確立、性能評価を行い、研究は着実に進捗している。さらに、マルチチャネル化において通信負荷が小さい場合に使用チャネル数を減らすことでチャネル数や電力の消費を抑制するという、当初予定していなかった機能を追加提案している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度に確立したネットワークコーディング(NC)伝送+QoS制御方式とマルチチャネル化方式をさらに相互連携させ、ネットワーク全体とフロー単位の両観点から通信容量のさらなる向上を図る予定である。マルチチャネル化における無線ノードのチャネル分配にあたり、NC伝送による効用を考慮した規律を新たに確立する。また、QoS制御で用いるクラスの優先度に応じてチャネル割り当てを行う規律を確立する。これらの規律においては、平成23年度に追加で提案した通信負荷に応じて利用チャネル数を小さく抑制する機能も合わせて提案する予定である。さらに、無線ノードが2個以上の送受信機を装備することで同時に複数チャネルが利用可能な環境への拡張も合わせて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、研究調査、成果発表のために出席した学会を変更したことで、旅費が当初の見積額より安く抑えられたため、未使用額が生じた。この未使用額は平成24年度の旅費として使用する予定である。平成24年度は、物品費は当初の予定通り700,000円を計上し、効率的に性能評価を行うための計算機資源およびシミュレータQualNetのライセンス購入を行う予定である。旅費については、当初の計画に平成23年度未使用額を加えた558,160円を計上し、国内外で研究調査および成果発表を行う予定である。その他の経費は当初の予定通り400,000円を計上し、学会参加費や研究成果の論文別刷費として使用する予定である。
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