研究課題/領域番号 |
23760341
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
谷川 陽祐 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90548497)
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キーワード | 無線ネットワーク / ゲートウェイアクセスネットワーク / チャネルアクセス制御 / ネットワークコーディング / マルチチャネル化 / QoS制御 |
研究概要 |
当初の計画に沿った形で、1つのゲートウェイと複数の無線ノード間の1ホップ通信に注目し、ネットワークコーディング(NC)伝送とマルチチャネル化の相互連携方式の立案と性能評価を行った。 まず、ゲートウェイ(同時にNチャネル利用可)と無線ノード(同時に1チャネル利用可)間の通信において、前年度に確立した無線ノード群の各チャネルへの分配規律を拡張し、NC伝送の効用を考慮した規律を提案した。想定している無線ノードが送受信機を1個のみ装備する条件下でのマルチチャネル環境において、NC伝送が行えるのは同一チャネルに属するノード間のみとなるため、互いにNCを行いやすいノード群を同一チャネルに分配する規律が必要となる。そこで、各無線ノードのパケット受信、傍受状況をゲートウェイが管理し、各無線ノードについて、自ノード宛てパケットとNCを行える他ノード宛てパケット数に応じて算出したスコアに基づいて当該無線ノードと同一チャネルに属する他ノードを決定した。これにより、NC伝送の効用を考慮しないチャネル分配規律と比較して、NC伝送可能なパケット数が増加することでネットワークの通信容量を向上できることが明らかとなった。また、無線ノードが2個以上の送受信機を装備する条件下においても、本条件の特徴である異なるチャネルに属する無線ノード間でのNC伝送ができる利点を考慮した基本提案方式の基礎検討を行った。 NC伝送とマルチチャネル化を単純に組み合わせただけの方式と比較して、両手法の特徴を考慮したインテリジェントな制御による適応的連携により、さらなる性能向上を示したことが本研究最大の意義である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿った形での提案方式確立、性能評価による有効性の評価と、研究は着実に進捗している。さらに、ネットワークコーディング伝送を有効に作用させることで、マルチチャネル化における使用チャネル数を減少させて資源(チャネル、消費電力)の消費を抑制する機能を導入するなど、一部ではあるが、当初予定していなかった機能を追加提案している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、想定ネットワークをゲートウェイと無線ノードがマルチホップで通信するネットワークに拡大し、平成24年度までに確立したネットワークコーディング(NC)伝送とマルチチャネル化の適応的連携方式の拡張を行う。 マルチホップ通信において可能となる、配下につながる無線ノードとゲートウェイの通信を中継する無線ノードにおいて、傍受パケットではなく隣接ノードへ過去に転送したパケットに基づいたNC伝送を追加導入した方式を確立する。 さらに、このマルチホップ通信において、無線ノードが2個以上の送受信機を装備することで同時に複数チャネルが利用可能な環境への拡張を合わせて行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度はシミュレーションの効率化を進めることで、当初予定していた計算機購入の必要が無くなったため、未使用額が生じた。しかし、平成25年度はマルチホップ通信環境でのシミュレーションを行うため、より多くの計算機資源が必要になる。そこで、この未使用額を新たな計算機購入に利用する予定である。旅費、その他の経費については当初の計画通り計上し、研究調査、研究成果の発表、学会参加費、論文別刷費等に用いる予定である。
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