研究課題
本研究の目的は筆記動作によるマルチモーダル認証手法の構築であり,1台のカメラで同時に取得可能できるオンライン署名特徴とペン持ち方特徴を抽出し,2つの特徴を組み合わせることで高精度認証の実現を目指すものである.昨年度までにシルエットに基づくオンライン署名特徴とシルエットに基づくペン持ち方特徴を両方用いることで,本人と他人をある程度の精度で識別できる結果を得ていた.しかし昨年度までの手法の問題点は,オンライン署名単体やペン持ち方特徴単体の認証精度があまり高くなかったことと,なりすまし対策の検討がなされていなかったこと,また,筆記者の筆記内容が変わった場合の評価・検討がなされていなかったことであった.そこで,本年度は,これらの問題に対し対応すべく研究を進めた.オンライン署名単体の認証精度向上としては,研究代表者が以前に研究を進めていた画像のぼけを用いる手法を改良し,特徴毎に異なる補正方法を適用し,異なる方法で補正された異なる特徴を組み合わせることで精度改善を実現した.ペン持ち方特徴については,これまで用いていた平均シルエットを用いる手法のみならず,シルエットの軌跡を利用する手法の検討なども行った.なりすまし対策と筆記内容変更の課題に関しては,複数の被験者に共通の文字を書いてもらうことでなりすましを想定したデータを収集するとともに,同じ被験者に各自の署名も書いてもらうことで,複数筆記者から異なる種類の筆記動作のデータ収集を行い,これらのデータを用いて評価を実施した.また研究全体の成果として,研究成果の論文化を進めた.最新の研究成果については今後学会や論文誌等で発表していく予定である.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
電子情報通信学会論文誌
巻: Vol.96-A, No.12 ページ: 769-779
巻: Vol. 96-A,No.12 ページ: 780-789