研究課題/領域番号 |
23760346
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
野村 亮 専修大学, ネットワーク情報学部, 講師 (90329102)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 多端子情報理論 |
研究概要 |
近年情報通信の基礎理論の一つである多端子情報理論を用いてセンサネットワークを数理モデル化し,その基礎的性質を考察する研究が成果を挙げている.そこでの解析の多くは情報源や通信路の確率構造を既知と仮定している.一方応用を考えた際これら確率構造は未知であることも多く,多端子情報理論における確率構造が未知の場合の解析は重要な研究テーマの一つと言える.多端子情報理論を用いたセンサネットワークの符号化問題は1.情報源符号化問題,2.通信路符号化問題,3.情報源通信路結合符号化問題の3つに大別できる.本研究は,これら3つの問題において情報源や通信路の確率構造が未知である場合を対象とし,解析を行ってきた. 平成23年度は,多対一のネットワーク上で,1.の符号化問題に対して考察を行った.まず多対一のネットワークの特殊な場合において現在までの文献調査を行い,その元で従来よりも精密な評価基準である2次達成可能性を用いた場合の伝送可能条件(微少な誤りを許容したもとで通信が可能となる為の条件)を精密に計算した.一部は確率構造が既知の場合においても得られていなかった結果であるが,この結果を未知の場合に拡張することは比較的容易であることも分かった.従来,多対一のネットワークにおいて2次達成可能性は完全には導出されていなかった.この意味で本研究は新規性が高い.さらにこの得られた成果をより一般的な多対一のネットワークに対しても適用可能であることを確認した.得られた結果は,情報スペクトル理論に基づいており,今後ますます発展する多対一のネットワークを精密に評価することのできる2次達成可能性という評価基準を用いた解析においても情報スペクトル理論が有効であることを明らかにしたと考えることも出来る.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,確率構造が未知の場合を対象としているが,従来研究の調査の過程で一部の問題設定においては,確率構造が既知の場合においても十分な結果が得られていないことが分かった.そこで改めて従来の確率構造が既知の場合に対しても解析を行った.その為,二対一の情報源符号化モデルにおいては,当初の予定通り結果を得ることが出来たが,二対一の通信路符号化モデルについては結果を得ることができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
二対一の情報源符号化モデル,通信路符号化モデルを対象として計画通り,理論解析,数値実験の二つの点から研究を進める.前者においては平成23年度までの結果をより一般的な形で導くことを目標とする.平成24年度後半は二対一の通信路符号化モデルにおいて伝送可能条件を導くことを目標とする. 二対一の情報源符号化モデルの理論解析の過程で,一部の通信路符号化モデルに適用可能な結果を得ることができた.まずはこの解析方法を適用して結果を得るところから始めたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
参加を予定している国際会議の日程の関係で,一部旅費を次年度に使用することになった.次年度は,二回の国際会議の参加を予定している.それ以外は当初の予定通りに使用する.
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