研究課題/領域番号 |
23760346
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
野村 亮 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (90329102)
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キーワード | 多端子情報理論 / 情報源符号化 / 通信路符号化 |
研究概要 |
近年情報通信の基礎理論の一つである多端子情報理論を用いてセンサネットワークを数理モデル化し,その基礎的性質を考察する研究が成果を挙げている.そこでの解析の多くは情報源や通信路の確率構造を既知と仮定している.一方応用を考えた際これら確率構造は未知であることも多く,多端子情報理論における確率構造が未知の場合の解析は重要な研究テーマの一つと言える.多端子情報理論を用いたセンサネットワークの符号化問題は1.情報源符号化問題,2.通信路符号化問題,3.情報源通信路結合符号化問題の3つに大別できる.本研究は,これら3つの問題において情報源や通信路の確率構造が未知である場合を対象とし,解析を行ってきた. 平成24年度は,多対一のネットワーク上で,1.情報源符号化問題に対して平成23年度に得られた結果を一般化した結果を得た.平成23年度の結果は,確率構造が既知の状況において,2次達成可能性を用いた場合の伝送可能条件(微少な誤りを許容したもとで通信が可能となる為の条件)を精密に計算したが,平成24年度はこれを未知の状況へと拡張した.従来,多対一に限らず確率構造が未知の場合の2次達成可能性はほとんど解析されていない状況であった.この意味で本研究は非常に新規性が高く,今後ますます発展する多対一のネットワーク通信の基礎となる結果と考えられる.また並行して2.の通信路符号化問題においても,従来研究を精査した.この分野では一対一通信において,特に平成24年度に得られた1.に関する結果を応用できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,確率構造が未知の場合を対象としている.多対一の情報源符号化モデルにおいては,当初の予定通り確率構造が未知の場合に対する精密な結果を得ることが出来た.一方,通信路符号化モデルについては多対一のモデルに対して所望の結果を得るには至らなかった.これは,従来得られていた一対一の通信路モデルに対しての結果よりも精密な結果が,情報源符号化モデルでの解析手法をを用いて得られることが分かったため,そちらの結果の導出を重要視したことによる.ここで得られた結果は多対一の通信路符号化モデルの応用を考えた際に重要な結果である.
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今後の研究の推進方策 |
多対一の情報源符号化モデルに対して得られた結果は既に論文誌に投稿済みである. 次に,一対一の通信路符号化モデルに対して得られている従来より精密な結果をまとめて論文誌へと投稿する.その際には,数値実験による評価が必要となるため,今後コンピュータシミュレーションの評価も行う.また併せて多対一の通信路符号化モデルへの適用を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
アルゴリズムの評価のために,コンピュータシミュレーションを行う.このコンピュータ代,また論文の掲載費,学会参加費での使用を予定している.
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