研究課題/領域番号 |
23760347
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
福地 裕 東京理科大学, 工学部, 准教授 (70366433)
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キーワード | フォトニックネットワーク / 超高速情報処理 / 先端機能デバイス / 非線形光学 / 光スイッチ |
研究概要 |
インターネットを基軸として拡大・進化し続ける高度情報化社会では、将来そのバックボーンを形成する光ネットワークにペタビット毎秒級の超大容量性が要求される。このようなシステムを構築するには、電子技術によらない多種多様な全光学的信号処理回路の開発が必須である。これまでに、いくつかの非線形光学素子を用いた超高速光段AND回路等が提案されているが、実用レベルの段階には至っていない。 本研究では、擬似位相整合波長分布制御高次非線形光学素子を考案し、様々な高機能全光超高速広帯域信号処理回路を実現する。最終目標は、インテリジェントな光ノードを備えた新世代高度光情報通信ネットワークの構築である。 今年度は、初年度に実施した擬似位相整合波長分布制御分極反転ニオブ酸リチウムベース全光超高速広帯域信号処理回路に対する詳細な数値解析結果を踏まえて、光波長変換や、OR/XOR、半加算/半減算、全加算/全減算等の各種機能を実現するためのデバイスの設計と動作条件等の最適化を行った。また、数値計算により、実際のデバイスの持つ作製誤差のタイプを分類し、これらが各種の信号処理機能に及ぼす様々な影響を明らかにした。これにより、次年度の異常光導波型デバイスおよび2つの偏波モードを持つ常光・異常光両導波型デバイスの発注に備えることができた。また、周波数軸上で導波路解析を行うことによる高い計算精度の実現や、各種機能に応じた最適デバイスの設計手法とその理想特性、さらに作製誤差をもつデバイスの劣化特性等を国際会議に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した研究計画に沿った数値計算には、高度かつ大規模な電子計算機の環境が必須であった。そこで、申請者の研究室でこれまでに整備した電子計算機や所属大学の大型計算機を駆使し、更に新たに整備された高速の並列計算機を最大限活用して解析を行った。 以上により、本研究課題の達成度は、現時点ではおおむね当初の研究計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最初に、最適設計パラメータを有する異常光導波型デバイスおよび常光・異常光両導波型デバイスを発注する。異常光導波型は高効率動作に軸足をおいた設計で最大1.28テラビット毎秒、常光・異常光両導波型は超高速動作に軸足をおき最大5.12テラビット毎秒で動作するよう分極反転領域長等を設定する。 次に、これらのデバイスを用いて、まずは全光超広帯域波長変換回路を実現し、本計画最難関課題のOR/XOR回路や、半加算/半減算回路、全加算/全減算回路、さらにはこれらを組み合わせた複雑大規模論理演算回路を順次実現していく。実験結果は、国内学会や外国開催の国際会議等に発表する。 最後に3年間の研究成果全体をまとめ、雑誌論文に投稿し、その概要を研究室ホームページ等に掲載、更に本学オープンキャンパス等にも出展し、広く社会・国民に発信する。また本研究の問題点と改善法を検討し、研究を更に発展させる。これらを踏まえて、擬似位相整合波長分布制御分極反転ニオブ酸リチウムベース高機能全光超高速広帯域ノード信号処理回路を備えた次世代高度光情報通信ネットワークの構築を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
解析に用いるための電子計算機はおおむね整備されていたため、電子計算機を新たに購入するための予算を少し節約することができた。一方、数値計算を進めていくと、実際のデバイスのもつ作製誤差による性能劣化が大きく懸念された。したがって、デバイスを発注する前に、作製誤差のタイプを分類し、これらが各種の信号処理機能に及ぼす影響を明らかにしておく必要が生じた。 以上により次年度に繰り越される予算は、次年度に請求する研究費とあわせて、実験計画に沿った実験器具や実験装置、実験設備を購入するための予算として使用する。具体的には、異常光導波型および常光・異常光両導波型の擬似位相整合波長分布制御分極反転ニオブ酸リチウム、および結合レンズ系や光カップラ、光パッチコード、光コネクタ等の光学消耗部品を発注・購入する。
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