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本研究では，中規模都市圏(地方中心都市圏)における運行を想定したデマンドバスモデルの設計及びミクロシミュレータの開発を行った．デマンドバスを運行するためには，利用者の要求に合わせた経路計画を行う必要がある．この問題は一般にNP困難に分類され，利用者の数が一定以上の時，実用的な時間内での求解が困難となる．本研究は，多数の利用者を広範囲に輸送することを想定している点で従来研究と異なる．提案交通システムは，利用者の出発地及び目的地へ直接輸送する小型デマンドバスと市町村間をつなぐ比較的長距離を輸送する基幹バスを協調させた２層からなるシステムである．
提案手法の評価として，利用者均衡配分により背景交通の交通負荷を推定し，調査時点での路線バス利用需要に対して，静的シミュレーションにより提案交通システム，既存の固定路線バス，既存のデマンドバスの３システムを用いた場合の旅行時間及び運行コストの比較を行った．実験結果は，提案手法が固定路線バスと同等の旅行時間で移動可能であることを示した．提案手法では，歩行距離が大幅に減少するため総合的なサービスレベルは向上すると考えられる．
提案手法は，交通量の比較的多い地域を想定するため背景交通との相互作用を調べる必要がある．そのため，個々の利用者及び車両をエージェントとしてモデル化し，エージェントの相互作用をシミュレートするミクロ交通シミュレータの開発を行った．ミクロシミュレーションにより，渋滞が与える影響のより正確な評価や，乗継ぎ地点に必要なバス停の規模，渋滞回避を目的とした動的な経路変更などの評価が可能である．また，スレッド並列化による高速化を行ったため，沖縄県中南部（人口約110万人，面積478k㎡)地域の24時間のミクロシミュレーションが数分程度で実行可能である．
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