研究概要 |
1, 将来に渡る発電量・消費量が未知のもとで,電力融通が電力利用効率に与える影響を求めるために,平成23年度において作成した数理計画モデルにおいて,発電量および消費量に関わる定数の,目的関数(融通効率)に対する感度を求めた.これにより,発電量と消費量の予測精度が電力ネットワーク全体に与える影響を定量的に検証することが可能となった.これにより,電力融通則の設計における予測値の導入について重要な知見が得られた.この成果は,第40回知能システムシンポジウム(査読無)にて報告した.さらに,電気学会論文誌への投稿を準備している. 2, 本研究が対象とする,自律分散型の電力融通ネットワークにおいて重要な要素デバイスである蓄電池に焦点を当てて,その劣化特性がネットワークに与える影響と,劣化を抑制する融通方策について最適化モデルにより検討を加えた.これは,蓄電池は一般に高価であり,また蓄電池の充放電則を適切に設定しなければ,蓄電池が急速に劣化特性を示すことが知られていることを前提としている.そこで,各時刻における発電量・需要電力量が既知の下で,蓄電池の劣化特性と密接に関わりのあるサイクル回数に制約を設け,ネットワーク外からの電力流入を最小化するモデルを構築した.この成果は,2つの国際会議(NEWCAS2012, SCIS-ISIS2012)と2つの論文誌(電気学会論文誌およびIEICE Transactions)に投稿した.
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