研究課題/領域番号 |
23760366
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
崔 森悦 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60568418)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 光周波数コム / 光空間変調 / 干渉計測 / 形状計測 / 光コヒーレンストモグラフィ |
研究概要 |
本研究は、空間周波数コム光源を用いることにより従来の共振器構造による周波数コム光源では困難な自由な周波数間隔掃引を可能とする新しい干渉計測の開発を行う。 従来の膜厚計測の場合、隣り合う二つの反射点が測定分解能よりも短い距離で隣接していると、干渉信号が重なって二つの反射点が識別できなくなる問題点がある。本研究で提案する光源と干渉計測手法は、その中心波長を全体的にシフトすることで片方のピークを消光でき、二つの反射点を識別することが可能となる。 本手法の特長は、コム光の周波数間隔を、中心波長を軸として対称に掃引すると高次の干渉ピークが検出されることである。この特長により光路差の走査が必要ない干渉計測が実現でき、更に中心波長をシフトすることにより、干渉ピークを消光することが可能となる。この干渉法の実現のために、空間周波数を制御する非共振器型のコム光源を開発する。 本研究は、長距離計測から形状計測まで広範囲の測定レンジを網羅するので、従来の干渉計では計測が難しい大型の工業製品の3次元精密形状計測やワンショットの塗装厚計測、微細な内部歪検出に応用できる。また、測定レンジ拡張機能により数cmから数m離れた位置からの生体OCT(optcal coherence tomography)計測への転用も検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目的は、(1)空間周波数変調機能を有するコム光源の作成、(2)干渉位相の原理確認実験であった。現時点までに、スーパールミネッセントダイオードを光源としてロンキール―リングやスターターゲットなどの簡易型の空間周波数フィルターを用いて空間周波数走査を可能とするコム光源を開発した。また、この光源及び正弦波位相変調干渉計を用いて干渉信号を観測し、周波数間隔と中心周波数の掃引に対する干渉振幅及び位相特性を実験により明らかにした。以上の成果を考慮すると、当該年度の研究はおおむね順調に進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進の方向は、以下の概ね2通りに分かれる。(1)ワンショット深さ計測に関する研究(2)液晶型空間光変調器による周波数操作に関する研究先ず、(1)では、干渉計側の受光面上に、「横方向を測定物体の横軸測定領域とし、縦方向を波数間隔が異なるスペクトル分布を持つ光とする2次元結像面」を生成することにより、例えばCCDカメラで得られる2次元干渉画像そのものが測定物体の深さ方向の断層分布となるようなワンショット(深さ方向のスキャンが必要ない)干渉計測を実現する。そのために、光源側の光学系を変更する。次に、(2)では、液晶型空間光変調器を導入することにより、空間周波数フィルタの周波数操作の自由度と精度を高め、高速な周波数間隔掃引を可能にする。これらの成果を踏まえ、最終的に干渉ピーク消光による薄膜断層形状測定への応用を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な研究経費の支出は物品費と旅費となる予定である。主な物品としては、光源側の光学系の構築のために20万円程度の光学レンズ部品等の購入を計画している。光源として、40万円程度の広帯域SLDの購入を予定している。光空間変調器の駆動用パソコンと周辺機器1式として15万円程度の支出を予定している。その他消耗品と必要な部品費として10万円程度の支出が見込まれる。空間周波数フィルタの蒸着のための研究機関への出張費、及びマスク等の材料費等の支出が10万円程度見込まれる。計測の自動化のための必要な物品の購入経費として30万円の支出を計画している。また、研究成果の国内学会発表、国外学会発表のための旅費として30万円程度の支出を計画している。合計で160万円程度の支出が見込まれる。
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