研究課題/領域番号 |
23760371
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松波 勲 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70583219)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 計測工学 / ITS |
研究概要 |
平成23年度は,様々な目標物のRCS計測と様々な環境でクラッタ計測を行い,路上で複数車両,バイク,自転車,歩行者を走行させ実測データ(開発するシステムモデルとの比較検討用)を取得し複数目標物検知・識別技術を開発した.また,次世代自動車レーダシステムのためのレーダシミュレータの研究開発において重要となる追尾技術を開発し,さらに汎用性の高い高精度かつ高機能な次世代自動車レーダシミュレータの開発を開始した.研究成果は以下のとおりである.また研究実績としては,学術論文1件,国際会議論文3件,国内会議論文9件の成果を残した.(1)既存の追尾フィルタである,カルマンフィルタ,α-βフィルタ等で単一目標や複数目標追尾における基本特性を評価し,これらのフィルタを応用して車載レーダに最適な追尾技術を開発した.(2)(1)で開発した追尾フィルタと複数移動体の検知・識別技術をフュージョンさせることで,新たに「レンジゲート荷重パルス積分法」を開発した.これまでに開発した検知・識別技術は等速運動する複数目標にしか対応できなかったが,当該研究で開発した「レンジゲート荷重パルス積分法」により,速度が異なる複数車両にも対応可能となった.評価に関しては,実測データとの比較検討により定量的に行った.(3)シミュレータ開発に向け,簡易的なモデル(直線モデル,交差点モデル)を作成し,上記開発技術を適応し評価を行った.(4)当初平成23年8-9月の計画であった様々な物標のRCS計測は平成24年3月に実施した.これは計画の遅れではなく,計画の見直しによるものである.(5)購入した幾何光学電波伝搬解析ソフトXGtdにより,様々な物標のRCSモデリングを実施し,実測したRCSと比較検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度は,様々な目標物のRCS計測と様々な環境でクラッタ計測を行い,路上で複数車両,バイク,自転車,歩行者を走行させ実測データ(開発するシステムモデルとの比較検討用)を取得し複数目標物検知・識別技術を開発し,フィールドにおける実証実験を行う予定であった.しかし,予定よりも早期に修了することが出来たため,平成24年度の研究計画を前倒して行う前に,より高精度なレーダシミュレータを構築するため,追尾技術の開発を新たに追加した.その結果,さらに汎用性の高い高精度かつ高機能な次世代自動車レーダシミュレータの開発の見通しを建てることができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,平成24年度はRCS及びクラッタのモデリングとレーダ受信信号推定技術の開発を行う.また,平成23年度に購入した電磁界解析シミュレータを用いて物標固有のレーダ反射断面積(RCS)の理論検証を行い,複数目標物検知・識別技術を一般的かつ普遍的なアルゴリズムへ改良する.最後にRCS及びクラッタのモデルから,様々な環境の伝送路モデルを構築し実測データとの比較検討を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
UWBレーダにおけるRCS解析法・推定法を確立しモデル化を行い,理論検証を平成23年度に購入した電磁界解析シミュレータと比較することで定量的に行う.その結果を,国際会議と学術論文で報告する予定であるが,次年度の研究費はこれらに使用する予定である.
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