本研究は先駆的かつ先進的に行ってきたマイクロ波・ミリ波を用いた周辺監視レーダシステム開発の集大成として、使用環境及びハードウェア特性を考慮したレーダシステムモデルを開発することにある。H25年度は、まず複数目標物検知・識別技術を一般的かつ普遍的なアルゴリズムへの改良し、H24年度に開発したRCS及びクラッタのモデルから、様々な環境の伝送路モデルを構築し実測データとの比較検討を実施した。また、伝送路モデルにレーダ受信信号推定技術及び各種信号処理技術を組み込むことでレーダシステムモデルを開発し総合的な評価を実施した。その結果、学術論文2編(条件付き採録中)、国際会議論文2編、国内会議論文4編の実績をあげることができた。 複数目標物検知・識別技術に関しては、開発したハフ変換を用いた軌跡推定アルゴリズムとプロファイルマッチング法を採用していたが、レーダ画像化における信号処理の負担を更に軽減させるために、α-βフィルタとカルマンフィルタを用いたハイブリット型追尾フィルタを新たに開発し、低信号処理で高精度な目標検知・追尾技術を実現している。この研究成果に関しては、現在、論文を1編投稿中である。また、伝送路モデルの構築においては、一般性を高めるため、より多くの実環境計測データが必要であった。しかし、電波法の関係から、電波レーダを用いた一般道で計測は困難である。そこで、リファレンスとして保有設備である2次元レーザレンジファインダ(SICK LMS511)を用いて一般道での計測を実施し、その情報をもとに様々な道路環境における伝送路モデルを構築している。 尚、これらの研究成果をもとに、平成25年度総務省SCOPE「動的周波数管理技術を内在した超高分解能レーダによるリアルタイム周辺監視システムの研究開発・代表者」に採択されている。
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