研究課題/領域番号 |
23760372
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
栗原 陽介 成蹊大学, 理工学部, 助教 (50552600)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生体信号計測 / 脈波 / 呼吸 / 無拘束計測 / 掻破 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、在宅環境において、無拘束で生体情報を計測するための感度が高いセンシング・デバイスの開発を行うとともに、計測した生体情報から得られる健康管理に有益な新たな情報の検討と、その検出アルゴリズムの開発である。 23年度においては、生体情報を無拘束で計測するセンサデバイスとして、圧電セラミック素子を用いたセンサデバイスおよび、サーミスタを用いたセンサデバイスを開発した。圧電セラミック素子を用いたセンサデバイスでは、金属版で挟んだ圧電セラミック素子をベンドさせることで、微小振動を計測するための高感度化が可能となった。このセンサデバイスをベッドの4つの足の下にそれぞれ設置することで、ベッド上で横になっているヒトの体動、掻破を無拘束で計測できることが可能となった。さらに4つセンサデバイスの出力に対して、体動信号、掻破信号の周期、パターン、頻度をもとにフィルタリングすることで、ベッド上でヒトがどの方向へ寝返りをしたかや、どの程度の長さ掻破を行ったかをモニタリングすることが可能となった。また、掻破時のセンサの出力信号から、医療現場で痒みの評価を行う指標となるTotal Scratching Time (TST)を自動的に検出するアルゴリズムを開発した。 サーミスタを用いた方法では、エアマットレスをベッドクッションの下に設置し、ベッド上で横になるヒトの脈動、呼吸によるエアマットレス内の空気流の変化をサーミスタを用いて計測する方法を開発した。サーミスタで計測した信号の出力に対し、脈波、呼吸信号の周波数帯域を通過するバンドパスフィルタを施すことで、脈波、呼吸信号を従来のマイクロフォンを用いた場合と比較して、高いSN比でモニタリングすることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に対し、23年度の研究計画としては、「在宅環境において無拘束で生体情報を計測するための感度が高いセンシング・デバイスの開発」を主とし、さらに開発したセンシング・デバイスで計測した信号に対し、「生体情報分離アルゴリズムおよび健康管理に必要となる情報の検知アルゴリズムの開発」を計画していた。 23年度においては、概ね当初の計画通りにシステム開発が行われ、デバイスの開発として、圧電セラミック素子を用いてベッドの上に横になるヒトの体動、掻破を計測するセンシング・デバイスおよび、エアマットレスとサーミスタを用いて、脈波、呼吸を高SN比で計測することが可能なセンシング・デバイスを開発した。さらに、開発したセンシング・デバイスにより計測した信号から、圧電セラミックを用いた方法では、ベッドの上で横になるヒトの体動信号および掻破、サーミスタを用いた方法では、脈波、呼吸信号を分離・抽出するアルゴリズムを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
24年度においては、当初の計画通りに、23年度の成果を踏まえ、プロトタイプを作製し実証実験を行いつつ、必要に応じてセンシング・デバイスの改良を行う。また、健康管理に必要な生体情報検出アルゴリズムのソフト開発が23年度から引き続き行われる。さらに、研究成果を論文や国内外の会議において随時発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
センシング・デバイスのプロトタイプおよび改良のための消耗品として20万円、センシング・デバイスの実証実験、データの解析などの実施には大学院生の協力にたいする謝金として30万円、研究成果を発表するための会議への出張旅費として30万円計上する。
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