研究課題
本研究課題の目的は、在宅環境において、無拘束で生体情報を計測するための感度が高いセンシング・デバイスの開発を行うとともに、計測した生体情報から得られる健康管理に有益な新たな情報の検討と、その検出アルゴリズムの開発である。本研究課題では、生体計測用の高感度なセンシング・デバイスとして、圧電セラミックをベースとして用いたセンシング・デバイスを開発した。このセンシング・デバイスは、金属板で挟んだ圧電セラミックをベンドさせたものをベッドの脚の下に4個所設置することで、ベッドの上で横になるヒトの脈動、呼吸、イビキなどの肺循環器系に関する生体情報や、寝返りや掻破などの体動に関する生体情報などの健康管理に有益な情報を、無拘束で計測することを可能とするものである。また、掻破に関して、医療現場でアトピー性皮膚炎の患者などの痒みの評価を行う際に指標となるTotal Scratching Timeを自動的に検出するアルゴリズムの構築を行った。センシング・デバイスの高感度化により、掻破に伴う振動を無拘束にも関わらず高いSN比で計測することが可能となったため、従来、カメラで撮影された動画像から医師が目視でTSTを求めていたのに対して、この高いSN比で計測した信号を用いることで、Total Scratching Timeを高精度に自動的に求めることが可能となった。高齢社会を迎えた日本において、健康管理のために日常的に生体情報をモニタリングする高齢者にとって、負担が小さいセンシング・システムの開発は大きな意義があり、本研究課題で開発した無拘束で生体情報をモニタリングすることが可能なシステムはその一助をなすものである。
すべて 2013
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IEEE Sensors Journal
巻: vol.13, no.9 ページ: 3325-3330
10.1109/JSEN.2013.2264283