本研究は,レーザーを利用して皮膚疾患部の血行動態を撮影条件の影響を受けず実時間に解析でき,同時に皮膚組織の酸化・還元ヘモグロビン濃度変化も計測できる皮膚ヘルスモニタリングシステムの開発を目的として遂行された。 平成24年度はまず,平成23年度に構築した2式の測定光学系に2軸可動ステージを追加し,疾患部が広範囲に及ぶ場合にその全体を走査できるようにした。同時に,測定光学系の各可動部に位置や角度の微調整を行うため新設のサーボモータを組み込むことで,ローカルコンピュータ(LC)で測定光学系全体の自動制御を行えるようにした。次に,ホストコンピュータ(HC)と2台のLCをLANを介して接続することで,動画データをLCからHCに実時間で転送できる環境を構築した。さらに,HCに血流速分布計測のためのソフトと酸化・還元ヘモグロビン濃度変化計測のためのソフトをインストールした。そして,各LCから転送された動画データを上記のソフトにより実時間で画像処理して映像として再現し,医師に診断材料として提供した上で,画像処理結果とカルテ情報を併せてデータベースに保存するまでの作業を一括して統合管理操作できるソフトを既設のアプリケーション開発ツールMATLABを用いて開発し,これをもとに装置全体をシステム化した。 その上で,皮膚アレルギー等の疾患部を対象として,本研究で開発した皮膚ヘルスモニタリングシステムの性能確認試験を実施した。その結果,本システムの皮膚疾患遠隔診断への有効性を確認することができた。
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