研究課題/領域番号 |
23760376
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
佐々木 憲一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 准教授 (70322831)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ホール素子 / 磁場測定 / ヘルムホルツコイル |
研究概要 |
本研究の目的は、磁場の3 次元ベクトル分布測定をする際に一般的に用いられている3 軸ガウスメータにおいて、その測定精度を1 桁以上向上させるための校正システムの開発を行う事である。具体的には、素子の取付け角度に起因する測定誤差に注目し、x・y・z 軸に対する素子の取付け角度を詳細に自動測定するためのヘルムホルツコイル群およびその制御システムの構築を行う事を目的としている。本年度は、取付け角度を測定するための5軸移動ステージの開発およびヘルムホルツコイルの一部の設計・製作を行った。5軸移動ステージはx・y・z・θ・φ方向の移動が可能となるよう、それぞれの方向に移動出来るステージを組み合わせて製作する。このステージは磁場中に設置されるため、その磁場を乱さない材質で製作する必要がある。しかしながら全てのステージを非金属または非磁性金属で製作するとコストが高くなってしまう。そこで、磁場中に設置することが不可避であるθ方向ステージのみ全て非磁性の材料を使用して製作した。光エンコーダと超音波モータを組み合わせる事で、強磁性金属を一切使用しない回転ステージを開発した。3軸ヘルムホルツコイルについては、磁石中心付近の直径10mmの球内で磁場均一度が1×10-4以下という仕様を満たす設計を行い、1軸分のコイルについて製作した。残りの2軸コイルを後で追加できる様に、取付け治具等も考慮した設計・製作になっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度中に、任意の方向の磁場を発生可能な3軸ヘルムホルツコイルの製作まで行う予定であったが、3軸全てのコイルを製作する際のコストが予算オーバーとなり、1軸のみの製作となった。ただし設計は3軸コイルとして行っており、残り2軸分のコイルを追加で取付ける事が可能な設計になっている。
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今後の研究の推進方策 |
3軸ヘルムホルツコイルについて、設計したコイルの製作費が平成23年度予算を上回ってしまい、1軸分のコイルしか製作出来なかった。そこで平成24年度分の経費と合わせ、残り2軸のコイルについてまず製作を行う。平行して、開発した5軸移動ステージに取付けて磁場ベクトル分布を測定するピックアップコイルプとホルダーおよび3軸ホールプローブを取付けるホルダーを設計・製作する。次に移動ステージを自動で制御可能な制御プログラムの製作を行う。この制御プログラムでは、磁場ベクトル分布の3次元マップ作成から、その結果を元に磁場中心を求める所まで、全て自動で行えるような制御プログラムを構築する。ある程度制御系が完成したら、1軸のヘルムホルツコイルを用いてその磁場ベクトル分布マップを作成する事で制御プログラムの動作確認を行う。2軸のヘルムホルツコイルが完成した時点で3軸コイルとしての組立を行い、ピックアップコイルを用いて磁場マップを作成する。作成したマップを元に3軸ヘルムホルツコイルの各軸と直交座標の傾きを求め、ヘルムホルツコイルが発生する磁場の向きの誤差評価を行う。最後に、軸の角度を補正したヘルムホルツコイルを用いて3軸ホールプローブのセンサー角度のズレについて測定・評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策のとおり、まず3軸ヘルムホルツコイルについて、今年度製作した1軸コイル以外の2軸分のコイルを製作、組立を行う。平行して、3軸ヘルムホルツコイルの磁場発生方向を校正するためのピックアップコイルおよびコイルを取付けるホルダー、ホールプローブを取付けるホルダーの製作を行う予定である。
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