研究課題/領域番号 |
23760379
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
和田 篤 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 助教 (40434021)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 光ファイバ / 半導体レーザ / 振動計測 / 温度計測 |
研究概要 |
本研究の目的は高い複屈折性を持つファイバ中に、光ファイバグレーティング(FBG) を反射鏡としたファブリ・ペロー干渉計の構造(FBG-FPI) を構成し、これを用いてひずみと温度の同時計測を高精度に行なう事である。光源の波長を狭帯域で高速に掃引する事により、FBG-FPIのもつ急峻な透過ピークを時間光パルスに変換して時間遅延を読み取る事で高精度を実現する。当該年度に行った研究は以下の通りである。 まず、センサヘッドの設計、試作とその基礎特性の検証を行った。本研究で最終的に使用するのは偏波保持ファイバ上に構成した FBG-FPI であるが、作成の費用が高額なことから、通常の光ファイバ上に構成した FBG-FPI を用いて特性の評価と設計方針の検討を行った。特に、チャープ型FBGを反射鏡としたファブリ・ペロー干渉計の試作を行い。このファイバ素子を用いたセンシングの有効性を検証した。 また、光源として利用する分布帰還型半導体レーザ(DFB-LD)の変調特性について評価を行った。本研究ではDFB-LDの注入電流を変調することでその発振波長を高速に掃引する予定である。レーザ出力の変調特性については、かなり高周波の領域まで注入電流に対して線形に追随する事が知られているが、波長の変調特性については明らかではなかった。本年度は 1 MHz までの帯域における波長変調特性を評価した。この結果、低周波の方が波長変調係数が大きく、周波数が高くなると波長変化量が減少する傾向にあることが分かった。 通常の光ファイバを用いて行ったセンサヘッドの検討結果を踏まえる事により、少ない試作回数で研究目的を達成可能なセンサヘッドを作成可能とする。光源の波長変調特性の評価により、周波数毎の波長変化量を考慮に入れて計測を行うことが明らかとなった。これに対し適切な対策を施す事により、計測精度を向上できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3割減額の可能性有の通達があった影響により、高額な機材を必要とする内容は次年度に先送りせざるを得なかった。そのため、研究の進行全体に多少の遅延がある。また、光源の波長変調特性に無視できない非線形性が確認されたため、この対策を行う必要が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、複屈折性を利用した温度とひずみの分離計測を実施する。センサ用の高複屈折 FBG-FPI は偏波面保持ファイバ上にFBGを2連続で書き込む事で作成する。作成は業者に依頼する。作成した高複屈折FBG-FPIの反射スペクトル、ひずみ、温度依存性等、基本特性を計測した後、センシングシステム全体を構成する。 基本動作の確認後、信号をアナログ-デジタル(AD)コンバータで取り込むよう変更し、更に、透過ピークを検出する フーリエ解析を実時間で行なうプログラムを開発することにより、計測の結果出力が実時間で行なえるようにする。 波長掃引時の波長ドリフトや波長ゆらぎが計測精度のボトルネックとなる可能性がある。そこで、波長参照用の波長フィルタを導入し、ドリフトやゆらぎを検出する。そして、波長掃引信号の生成をデジタル-アナログ(DA)コンバータで行うように変更し、ドリフトやゆらぎの影響を補償した掃引信号を生成する。また、波長変調特性の非線形性の校正も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費が生じた理由:3割減額の可能性有の通達があった影響により、高額な機材を必要とする内容は次年度に先送りせざるを得なかった(全額交付の通知があった後で購入しようとしても、所属機関の購入手続きでは、機材が来るのは年度末である)。また、最近になって可能範囲が拡大された合算使用を有効活用すべく、所属機関に問い合わせたが、運用の可否が判明しないままに年度の終わりを迎えた。 今年度は、主として、高複屈折 FBG-FPI の購入をはじめとしたファイバ素子の購入や光源の高速化、制御の高精度化に必要な変換器の購入に充てる。高速化、高精度化に踏み切る場合、光源と数値演算部分、光検出器の取得部分を同時に換装する必要があるため、本年度から来年度初頭にかけて充当可能な(本助成以外の)全予算を考慮して購入計画を検討する。
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