研究課題/領域番号 |
23760382
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
東 剛人 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60308179)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | システム科学 / システムバイオロジー / システム同定 / タンパク質ネットワーク推定 |
研究概要 |
当該年度では,周期信号を考慮した最小二乗法を用いたタンパク質ネットワークの推定法を提案し,さらに疑似周期信号を考慮した場合にまで拡張した.この結果により,大量のデータを必要とした最小二乗法に基づく推定が,1周期分のデータを用いることとと等価であることを理論的に示した.6個のタンパク質から構成される酵母の細胞周期における基本構造において,1周期毎の最小二乗推定値が等しいこと,十分大きなデータ数ではその推定値が1周期分のデータ数からの推定地値に漸近していくことを,数値シミュレーションで実証した.次に,細胞内ゆらぎを含む細胞周期のタンパク質ネットワークを確率微分方程式として記述し,細胞内ゆらぎを含む細胞周期のタンパク質ネットワーク推定を行った.細胞内ゆらぎが大きくなるにしたがって,タンパク質ネットワークの推定が困難となることが判明した.そこで,部分空間同定法に基づいた新しいタンパク質ネットワーク推定法の提案を行っている.また,推定されたタンパク質ネットワークを非線形微分方程式として記述し,その感度方程式および周期感度を導出して,ロバストネス解析を行った.その結果,推定されたタンパク質ネットワークには細胞周期のロバストネスを低下させるものが存在することを示した.ロバストネスを低下させるネットワーク結合の存在を示唆することは,がん細胞の増殖を劇的に弱める抗癌剤への創薬などへの応用が期待できる成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
周期信号および疑似周期信号に対する最小二乗推定の性質を理論的に示し,データ数の少ないタンパク質ネットワーク推定法を提案し,その有効性を数値実験で示した.また,細胞内ゆらぎを考慮したシミュレーションを行い,提案手法の有効性を検証している.推定されたタンパク質ネットワークのロバストネスを感度方程式によるシミュレーションおよび周期感度による評価で検証している.さらに,部分空間同定法に基づくタンパク質ネットワークの推定法について提案している.
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今後の研究の推進方策 |
部分空間同定法に基づく細胞周期のタンパク質ネットワーク推定法を,細胞内ゆらぎを有する問題に拡張させ,その有効性を検証する.細胞周期のロバストネスを向上させるタンパク質ネットワークの存在の可能性を示唆させることを目標とし,数値シミュレーションだけではなく,分子生物学の実験データからの検証も目標とする.
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次年度の研究費の使用計画 |
計算機シミュレーションソフトウェアの購入,国内外での成果発表および査読付き学術雑誌への研究成果発表に研究費を使用する予定である.
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