研究課題
平成25年度は当初の計画通り,ブーリアンネットワークに基づく遺伝子ネットワークの制御に関する研究に取り組んだ.ブーリアンネットワークとは,遺伝子の発現量を0-1変数(ON/OFF)で表現し,その時間変化をブール関数で表現した数学モデルである.まず,複数の薬剤の効果を考慮した制御手法の開発に取り組んだ.薬剤を投与すると,細胞は一定時間,影響を受ける.しかしながら,影響を与える時間は薬剤により異なる.また,薬剤が想定通りに影響するかどうかは確率的である.この点を考慮した新たな制御手法を提案した.次に,文脈依存確率ブーリアンネットワークに対する解析・制御手法の開発に取り組んだ.文脈依存確率ブーリアンネットワークは遺伝子ネットワークに含まれるノイズを考慮した数学モデルである.ここでは,最適制御問題と検証問題を取り上げた.最適制御問題は多項式最適化問題に帰着させた.検証問題については,確率的モデル検査を利用した手法を提案した.最後に,ブーリアンネットワークのアトラクターに着目した設計法を提案した.アトラクターとはブーリアンネットワークの定常状態のことであり,細胞の種類に対応している.したがって,指定したアトラクターをもつブーリアンネットワークを設計する問題は合成生物学やシステム生物学において重要となる.本研究では,望ましいアトラクターをもち,かつ望ましくないアトラクターをもたないブーリアンネットワークを求める手法を提案した.研究期間全体を通じた研究成果について述べる.得られた成果は,(1)確率切替システムのモデリング,(2)確率ハイブリッドシステムの確率的拘束付き最適制御,(3)確率ハイブリッドシステムの離散抽象化,(4)ブーリアンネットワークに基づく遺伝子ネットワークの制御である.いずれの成果も基礎理論として重要であり,当初の目的を達成したと考えられる.
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