研究課題/領域番号 |
23760391
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
中村 奈美 東京理科大学, 理工学部, 研究員 (30452527)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 位相空間 / 非線形システム / 安定性解析 |
研究概要 |
1.なめらかな多様体上の非線形システムの安定性解析および安定化Euclid空間上のシステムに対しては,Euclidノルムを用いて原点が漸近安定であるための必要十分条件式が記述されている.さらに,この条件式に入力項を付加した式を用いて,入力状態安定性が定義されている.また,ISS-Lyapunov関数が存在するならばシステムは入力状態安定であることが知られている.本研究では,これらの結果をなめらかな多様体上に拡張した.まず,なめらかな多様体上のシステムに対して,連続正定プロパー関数を用いて原点が漸近安定であるための必要十分条件式を記述した.さらに,この条件式に入力項を付加した式を用いて,入力状態安定性を定義した.また,ISS-Lyapunov関数が存在するならばシステムは入力状態安定であることを明らかにした.得られた結果はEuclid空間上の結果を完全に含むだけでなく,Riemann多様体上のサンプルアンドホールド解に対してプレコンパクト集合を用いて定義された入力状態安定性とも矛盾しない.これにより,多様体上で簡単に入力状態安定性を議論できるようになった. また,多層最小射影法を適用できる条件を緩和し,なめらかな多様体上で簡単に制御Lyapunov関数を設計できるようにした.2.Radon測度に関する情報収集位相空間上で微分方程式を考えるための準備として,Radon測度の調査を開始した.Radon測度の定義は複数あり,Lubesgue測度やLubesgue積分との整合性が十分に検討されていないことがわかった.引き続き調査を進める予定である.3.局所同次非線形システムの局所同次安定化マニピュレータや磁気浮上系に対して局所同次制御則を実装し,有効性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.安定性の定義の拡張なめらかな多様体上の非線形システムに対して,Lagrange安定性および入力状態安定性を定義し,他の論文で定義されている安定性との比較を行った.2.安定であるための必要十分条件なめらかな多様体上の非線形システムに対して,連続正定プロパー関数を用いて安定であるための必要十分条件を記述した.また,ISS-Lyapunov関数が存在するならばシステムが入力状態安定であることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
1.位相空間上の制御システムの記述法Radon測度やRadon積分に関する調査をさらに進めて,一般の位相空間上のシステムの記述法を模索する.2.位相空間上のLyapunovの第2定理の逆定理位相空間上でもLyapunovの第2定理の逆定理が成立するか検討する.特に,本研究では初期値に対する解の連続性を仮定していない.このことがLyapunovの第2定理の逆定理に影響するか否かについて,慎重に研究を進める.3.車両型移動ロボットに対する移動障害物回避制御則の設計ロバスト安定化制御則の応用例として車両型移動ロボットに対する移動障害物回避制御則を設計する.さらに実記に実装することによって有効性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
異動のため年度初めに本研究予算を使用することを控えたため,本年度は予定よりも使用額が若干少なくなった.次年度の研究費は以下のように支出する予定である.1.20th Mediterranean Conference on Control and Automation,第41回制御理論シンポジウム,第13回制御部門大会,MiCANSなどに参加する.2.書籍や文献を購入する.3.コンピュータシミュレーションを行うためのワークステーションを購入する.
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