相互結合型大規模システムの分散制御では、サブシステム内の不確かさに加え、サブシステム間の相互干渉や不確かさがシステムを安定化する際に大きな問題となる。本研究では、大規模システム内に存在するいくつかの特徴的不確かさについて考察し、そのような不確かさ存在する場合でも大規模システムの安定性が保証できる可変構造制御手法について検討した。特にシステム内に存在する不確かさの限界とサブシステム間の相互干渉の強さが未知な場合でもシステムの安定性を保証できるよう適応則を組み合わせた分散制御則を提案した。最終年度はマッチング条件を満足しない不確かさと相互干渉をもつ大規模システムについて考察し、その限界値を推定する適応則を新たに導入することでシステム全体の安定性を保証できる新しい分散適応ロバスト可変構造制御則を提案した。またシミュレーション実験においても良好な結果を得た。 本研究の主な成果は以下のとおりである。 1)入力項に未知の非線形構造をもつ相互結合型大規模システムに対する分散制御問題について考察し、サブシステム間の結合の強さが 未知であっても大規模システムの安定性を保証できる分散適応ロバスト可変構造制御則を提案した。 2)マッチング条件を満足しない不確かさとサブシステム間の相互結合が存在する大規模システムについて考察し、不確かさの限界が既知のもとで大規模システムの漸近安定性を保証できる分散可変構造制御則を提案した。3)マッチング条件を満足しない不確かさとサブシステム間の相互結合が存在する大規模システムについて考察し、不確かさの限界が未知のもとで大規模システムの漸近安定性を保証できる分散適応ロバスト可変構造制御則を提案した。4)提案した各分散制御則についてシミュレーション実験を行い有効性を確認した。
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