研究課題/領域番号 |
23760398
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
佐藤 昌之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 主任研究員 (90358648)
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キーワード | ゲインスケジューリング / ロバスト性 / 飛行制御 / 飛行実験 |
研究概要 |
23年度に開発した離散時間システムに対する実用的なゲインスケジューリング制御器設計法を用いて JAXA が所有する実験用航空機の横/方向運動に対する外乱条件下におけるモデルマッチング制御器を設計し,制御性能の検証を実環境下において実施した.その途中において機材不調が発生したために十分な検証はできなかったが,部分的な検証実験は実施できた.また,その結果を 2013 American Control Conference へ投稿し,accept された. 理論的な研究として,別の研究者によって提案されていたスケジューリングパラメータの不確かさに対するロバスト性を保証する設計法と,23年度に開発した設計法のベースである連続時間に対する設計法の比較を行い,我々が提案した設計法がより汎用的な結果であることを証明し,数値例によりその事実を明らかにした.これらの結果はフランス LAAS-CNRS の Dimitri PEAUCELLE 研究員との連名の論文として,国際雑誌(Automatica)に掲載されることが決定された.また,不確かなスケジューリングパラメータの使用を前提とした状態オブザーバの設計法を国際会議(IFAC Symposium on Robust Control Design 2012)にて発表し,オブザーバ併合型状態フィードバック制御則設計への道筋をつけた. さらに,この数年間におけるゲインスケジューリング制御器設計法の発展および適用例について,システム制御情報学会誌に「『実システムへの適用』という成熟期に入ったゲインスケジューリング制御」と題した解説記事を執筆した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験用航空機の機材不調から,検証実験に一部遅れが生じているものの,故障箇所の修理が25年度初頭に終わる見込みであることから,25年度前半もしくは後半には外乱条件下でのモデルマッチング性能の検証実験を完遂することが可能と見込まれる.また,もう一つの課題であるロバストモデル予測制御を用いた外乱抑制制御の開発は,25年度の前半に行う予定である.その結果,当初計画していた全ての研究課題を実施することが可能と見込まれるため,「(2)おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
実験用航空機の横/方向運動に対するモデルマッチング制御器設計は,既に終了しているが,制御性能改善を目指して,搭載アクチュエータの再モデリングおよびその結果を用いた再設計により,外乱条件下におけるモデルマッチング性能向上を図る予定である. もう一つの課題であるロバストモデル予測制御を用いた外乱抑制制御については,元々の応用先として想定していた航空機の乱気流による揺動抑制への応用に関する結果をまとめるとともに,パラメータ依存システムへの拡張を検討して行く予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初,実験用航空機の横/方向運動に対する制御検証結果を 24年度内に国際会議にて発表することを想定していたが,設計に時間を要したことや機材の日程上の都合が付かなかったことにより,25年度に発表することとなった.そのため,学会参加に伴う旅費および参加登録費を25年度へ繰り越すこととなった.なお,25年度では,繰り越し分を含めて,旅費,学会参加登録費,必要な資料購入に使用する予定である.
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