研究課題/領域番号 |
23760401
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
白川 龍生 北見工業大学, 工学部, 助教 (50344552)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ナノカーボン / 舗装材料 / ロードヒーティング |
研究概要 |
本研究は、道路交通分野における諸問題のうち、積雪寒冷地のロードヒーティング問題(初期コスト、維持管理コスト、破損)とITS社会の発展に伴い指摘され始めた電磁波公害への対応が可能な舗装構造を新たに開発・提案することを目的とするものである。省メンテナンス社会やITS社会の到来に伴い、舗装材料や舗装構造には近年新たな要求が課せられるようになった。例えば北海道のような積雪寒冷地では、道路利用者からの要望に応じて交差点付近における冬期スリップ事故防止、あるいは除雪のためのロードヒーティング化が進められきた。 しかし初期投資・運転経費ともに高額であることに加え、ヒーティングパイプの折損故障が発生するなど、運用にあたって多くの障害が見られるようになった。さらに近年の道路維持管理費用の削減に伴い、上記運転経費が捻出できなくなり、設備がありながら利用されていない事例がメディアを通じて報道されている。別の事例としては、ETCに代表されるITS技術が近年著しく普及しているが、自動車から発信される電磁波が舗装上で乱反射することにより誤作動が生じたという事例が報告されている。これらの諸問題に対しては、ナノカーボンを舗装材料に使用しその性能を発現させることによって解決することが可能であると考えた。 今年度は、研究開発の基本であるナノカーボンと建設材料(アスファルト)との複合材料開発を主体的に行い、分散技術の確立と、新材料の強度・電磁波吸収性能の確認に主眼を置いた。実験の結果、アスファルトへのナノカーボンの分散性を高めるため、アスファルト乳剤が有効であることが分かった。ナノカーボンを添加することにより針入度(強度)及び電磁波吸収性能を高める効果が認められた(特許を出願した)。これを表層材として、次年度は具体的なロードヒーティングを設計・開発する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開発の基本であるナノカーボンの分散技術について、アスファルト乳剤を使用する方法を発明し、特許を出願し、学術論文を公表した。しかしながら、最終的なロードヒーティングモデル構築へのアプローチは遅れ気味であり、平成24年度は研究開発のペースを高める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に確立した基本技術を表層(舗装面)に使用し、熱伝導性を高めた新型ロードヒーティングモデルを作成し、冬期の降雪時に実験を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ロードヒーティングモデル開発のための材料費、実験分析装置に使用する予定である。また、研究資料の収集及び研究成果公表のための旅費、実験補助・協力者への謝金を計上する予定である。
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