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本研究は、フライアッシュを用いたセメント系硬化体の炭酸化および塩害の劣化因子としての気体・液状水・塩化物イオンの移動特性、生成物の変化に伴う移動抵抗性の変化と組成成分の炭酸化反応抵抗性および塩化物イオンの固定・分解能力を統合的に考慮し、そのメカニズムの解明をすることで、フライアッシュ系硬化体の耐久性能を定量的に評価することを目的とする。
本年度の研究においては、中長期材齢においての、フライアッシュを用いたセメントペーストの継続検討を行い、既往の研究のまとめを行うとともに、さらに検討範囲を、フライアッシュを用いたコンクリートへ拡張して、組成分析、気体の拡散試験、塩化物イオンの拡散試験、中性化深さ試験などの実験結果のまとめ、評価を行った。
その結果、フライアッシュを用いたコンクリートにおいて、養生に関わらず、フライアッシュを置換するによる気体の拡散係数は大きく影響を受けず、促進中性化環境においても高い気体移動抵抗性が確認できた。これは、これまでセメントペーストレベルとで検討した結果と異なる部分である。また、フライアッシュコンクリートの遮塩性は十分な養生をすることで、フライアッシュを置換していないコンクリートより高くなっているが、炭酸化の進行により、遮塩性は顕著に低下することが明らかになった。これは、炭酸化の進行によりＣ/Ｓが小さくなり、塩化物イオンの固定能力が弱くなったと考えられる。
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