研究課題/領域番号 |
23760409
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 始 富山県立大学, 工学部, 准教授 (10553133)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 維持・管理 / 鉄筋コンクリート / 診断技術 / 土木材料 / 建設マネージメント |
研究概要 |
コア削孔による応力解放法を用いたASR膨張ひずみ量の測定手法の開発を目的に、3つの課題の解決に取り組んでいる。課題は、(1)計測方法の確立、(2)算定手法の確立、(3)構造物への適用である。(1)計測方法の確立 :膨張コンクリートを用いた拘束供試体を製作し、(a)表面ひずみ計測法と(b)オーバーコアリング法によるコア削孔実験を実施した。(a)表面ひずみ計測法では良好なひずみデータが得られたが、コンクリートの乾燥収縮の影響を受けることやコンクリート内部に比べて解放ひずみが小さくなることが課題となった。(b)オーバーコアリング法ではひずみゲージを接着したエポキシ樹脂の剛性が低いことや計測の作業性が低いことが問題であった。そのため、新たに(c)計測モールド法の適用を検討している。(c)計測モールド法とは直径50mmの円柱モルタルの中に埋込み型ひずみ計を配置し、モルタルを先行コアに埋め込んで計測装置として用いる方法である。(2)算定手法の確立 :課題(1)で実施した拘束供試体のコア削孔実験をモデル化した3次元応力解析を実施し、内部ひずみ(自由膨張ひずみ)の入力に対して、想定通りの表面ひずみ(解放ひずみ)が得られる評価方法を確立した。解析結果は、課題(1)で挙げた課題を除き、実験結果と整合する結果となった。(3)構造物への適用 :実構造物を模擬した鉄筋コンクリート供試体について、オーバーコアリング法によるコア削孔を実施した。課題(1)で実施した拘束供試体との違いを把握した。上記のいずれの実験も、ASR劣化を模擬した膨張コンクリートで実施したが、ASR劣化のためのコンクリートは、反応性骨材を取り寄せて角柱供試体で膨張ひずみの計測を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施項目「(1)計測方法の確立」として、(a)表面ひずみ計測法と(b)オーバーコアリング法による2つの方法でコア削孔実験を試みた。(a)表面ひずみ計測法では良好なひずみデータが得られたが、コンクリートの乾燥収縮の影響を受けることやコンクリート内部に比べて解放ひずみが小さくなることが課題となった。(b)オーバーコアリング法ではひずみゲージを接着したエポキシ樹脂の剛性が低いことや計測の作業性が低いことが問題であった。やや遅れている理由は、前記の2つの計測方法についての課題を解決するために、新たな方法「(c)計測モールド法」の適用を検討したことである。(c)計測モールド法とは直径50mmの円柱モルタルの中に埋込み型ひずみ計を配置し、モルタルを先行コアに埋め込んで計測装置として用いる方法である。前記の2つの方法と同様に、要素実験として膨張コンクリートを用いた拘束実験で、(c)計測モールド法を使用した計測方法を確実に確立したのちに、実施項目「(3)構造物への適用」に取り掛かる予定であり、実施項目(3)の着手が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究は、当初の研究課題3つを一部修正して行う。(1)計測モールド法を用いた実験:膨張コンクリートおよびASRコンクリートの拘束供試体を用いたコア削孔実験を行い、「計測モールド法」による計測方法を確立する。(2)算定手法の確立:計測モールド法の実験を応力解析で再現する。加えて、実構造物への適用を考慮した算定手法を確立する。(3)構造物への適用:実構造物を模擬した鉄筋コンクリート供試体を製作し、コア削孔実験を行う。なお、研究課題(1)「計測モールド法」の検討で費用を要したため、鉄筋コンクリート供試体の製作は規模を縮小して行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の主な研究費の使用計画・埋込み型ひずみ計 200千円・拘束供試体の製作 200千円・鉄筋コンクリート供試体の製作 500千円
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