研究課題/領域番号 |
23760411
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
加納 陽輔 日本大学, 生産工学部, 助教 (50451315)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 舗装材料 / 再材料化 / アスファルト / 骨材 / 再利用 |
研究概要 |
本研究は、加圧熱水を用いて、アスファルト混合物舗装発生材(以下、発生材)を破砕することなく、含有する素材を分別回収する新たな再材料化技術の開発を目的としている。以下に、平成23年度実施の目的と方法および成果の概要を報告する。【平成23年度実施の目的】 再生骨材中の粗骨材および細骨材に残存する旧アスファルトが再生アスファルト混合物の性状に与える影響を把握し、本技術による回収素材の品質目標値(粗・細骨材の旧アスファルト量など)を確認する。【平成23年度実施の方法および成果】 実際の再生骨材または強制熱劣化による再生骨材モデルを用いて、再生骨材中の旧アスファルト量や骨材粒度が再生混合物の配合および品質に与える影響を圧裂試験、曲げ試験(-10、0、10、20℃)より評価した。この結果、粗骨材に被膜する旧アスファルトに対しては、多量の再生用添加剤を要すること(旧アスファルトとの重量比率で20.9%)、品質改善に限界があること(再生用添加剤の増加に伴い10℃以上の曲げ強度が低下)を確認した。他方、細骨材に被膜する旧アスファルトに対しては、少量の再生用添加剤によって所用の圧裂ステフィネスが得られ(旧アスファルトとの重量比率で4.2%)、再生混合物は-10℃~20℃で新規混合物と同等の曲げ強度を有する。なお、この結果は再生骨材および均質に作製した再生骨材モデルで同傾向であり、粗骨材を被膜する旧アスファルトが再生混合物の品質に大きく影響することを確認した。以上から、予備実験の結果を踏まえて、回収素材に対する旧アスファルト量を粗骨材が1.0%以下、細骨材が1.5%以下として、次年度実験の品質目標値を定めた。また、平成23年度では発生材を熱水中で加熱解砕する前処理装置、粗骨材を分別回収する一次処理装置、細骨材を分別回収する二次処理装置を試作し、プラント化を目指した確認実験を並行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度目的としていた、旧アスファルトが再生アスファルト混合物に与える影響を把握したうえで、本技術による回収素材の品質目標値を定量的に定めることができた。ただし、再生アスファルト混合物の品質に関しては、今後もより多角的な評価を継続し、平成25年度目的である回収素材の利活用へと検討をつなげたい。また、期間内の到達目標である分別再材料化システムの提案に向けて、プラント化を目指した各工程での実験装置を試作しており、次年度以降実験の準備を計画的に進めている。以上の成果から、本研究は本年度目的を達成し、おおむね順調に進展していると自己点検・評価する。
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今後の研究の推進方策 |
【平成24・25年度実施の目的】 回収素材の品質目標値を満足する分別再材料化技術(処理温度・時間など)を検討し、回収素材の利活用方法を検証する。【平成24・25年度実施の方法】 予備実験から分別性能を確認した90℃を目安に、熱水または加圧熱水による分別再材料化実験を行い、温度と時間が分別性能に与える影響を究明する。ここで、供試体は平成23年度同様に、再生骨材およびストレートアスファルト60-80を配合した再生密粒度アスファルト混合物を使用し、併せてポリマー改質アスファルトを用いたポーラスアスファルト混合物等によって他の混合物に対する応用の可能性を確認する。 本技術によって分別回収した骨材(以下、回収骨材)に対して、密度及び吸水率試験、ふるい分け試験、アスファルト抽出試験等を実施し、回収後の粗骨材および細骨材の性状と品質を評価する。また、回収したアスファルト(以下、回収アスファルト)に対して、針入度試験、軟化点試験、伸度試験等を実施し、発生材から分別されたアスファルトの性状と品質を把握する。以上の結果を踏まえて、回収骨材および回収アスファルトのより付加価値の高い利活用方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費は、主として実験を行うために必要な資材(骨材、アスファルトなど)および部品(装置消耗品、改良部品など)等の物品費として使用する。なお、具体には以下の使途を計画している。資材:砕石(7号)、ポリマー改質アスファルトII型・III型・H型、など部品:撹拌翼、電熱装置、分級用ふるい(特注)、など
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