研究課題
高度経済成長期に大量に建設されたコンクリート構造物は,経年劣化で建替の時期が迫っている.しかし,最近の経済状態では建替は困難であり,問題個所を補修し長寿命化することが最善策である.検査が急がれる問題個所は膨大で,効率的・経済的な検査方法の開発が急がれている.また,地震などの災害発生時には,利用再開にあたって安全性評価が不可欠であるが,対象物に到達できない場合もあり,遠隔操作が可能なロボットの開発が必要である.本研究では,衝撃弾性波法を用いて壁面や床版下の点検を行なうロボットを開発することを目的として,垂直面および天井面を移動可能な点検ロボットの開発を行なった.ロボットは,吸着部,駆動部,制御部,計測部の各要素で構成されている.吸着部にはブロア用のファンを用いた.搭載するファンに対して,吸盤からの漏れ面積と吸盤内圧力の関係を求め,必要な吸盤の直径を決定した.駆動部には,DCモータとスライダを組み合わせた移動装置を製作し軽量化を計った。点検方法は,衝撃弾性波法の他、マイクロフォンを用いた打音検査やカメラを用いた目視検査が可能である.衝撃弾性波法は,モータに取り付けた鉄球で打撃し,加速度センサを用いて表面振動を計測する.計測された時系列データは,無線LANを介してPCに保存される.また,加速度センサをマイクロフォンと交換することで打音検査が可能である.また,画像データも同時に収録することができる。駆動部のモータを制御するための通信には,ラジコン用無線(AM帯)を使用して,無線LANとの混線を避けた.すべての電力は,リチウムポリマー電池から供給されることで、無線化を実現した.最終年度の平成24年度においては、平成23年度に製作した点検ロボットの動作実験を行い、吸着部や移動方式の改良を行なった。また、打音検査装置の動作確認を小型試験片を用いて行った。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Proceedings of the 8th International Conference on Fracture Mechanics of Concrete and Concrete Structures
巻: CD-ROM