平成25年度は、画像解析によるRC部材に対する非接触ひずみ計測システムのさらなる高度化と、斜めひび割れ面における伝達応力に基づくせん断耐力予測式の構築に重点を置いて、活動を実施した。 画像解析によるコンクリート表面のひずみ計測においては、ひび割れ開口に伴う引張ひずみの計測に対しては十分な精度を有しているが、圧縮ひずみの測定には精度的に難があることが従来から指摘されていた。これは、発生する圧縮ひずみの値が相対的に小さく、コンクリート表面の面外方向変位が影響しているためと考えられた。そこで、高い精度での圧縮ひずみ測定を実現すべく、表面の面外方向変位の影響に対する補正方法を開発し、画像解析システムに組み込んだ。圧縮ひずみが卓越するRCディープビームの載荷試験にこの画像解析を適用した結果、せん断抵抗機構のひとつである圧縮ストラットの位置と大きさを概ね判別できるという良好な結果を得ることができた。 前年度までに、画像解析を繊維補強コンクリートはりのせん断破壊に適用し、斜めひび割れの開口変位およびすべり変位を測定することで繊維の分担せん断力を評価することを試みており、繊維補強コンクリートの引張軟化構成則に基づき画像解析結果より算出した繊維の分担せん断力が、実験値と概ね一致することを見出した。そこで、この成果を実構造物の設計手法へと応用すべく、画像解析で得られたひび割れ変位分布をモデル化し、引張軟化構成則に基づくせん断耐力予測式を構築した。得られたせん断耐力予測式は、従来の経験的な予測式と比べて、高い精度と汎用性を持つことが確認された。
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