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2012 年度 実施状況報告書

琉球石灰岩地盤のための高性能破壊力学シミュレータの開発~弾性から破壊まで~

研究課題

研究課題/領域番号 23760428
研究機関琉球大学

研究代表者

松原 仁  琉球大学, 工学部, 助教 (50414537)

キーワード第4紀琉球石灰岩 / き裂進展シミュレータ / 節点ベース有限要素法 / 移動最小自乗法 / 一軸圧縮強さ / き裂ネットワークモデル
研究概要

砕屑性の琉球石灰岩を対象に,岩の粒子構造やき裂ネットワーク構造を考慮することができるき裂進展解析手法を開発した.前者に対しては,Enriched Free Mesh Method(EFMM)と付帯条件付多次元移動最小自乗法(C-MultiMLSM)を組み合わせることで実現し,実験結果と比較的よく一致することを確認することができた.後者に対しては,離散き裂ネットワークモデル(Discrete Fracture Network Model)を用いた一般化有限要素解析を行うことで,複雑なき裂分布を有する岩盤のき裂進展解析を行うことができた.これらの成果は,土木学会論文集(地圏工学)をはじめとするいくつかのジャーナル論文に掲載されている.なお,岩盤内を流れる流体挙動についても,き裂ネットワークモデル,ランダムウォーク法および一般化有限要素法を併用することで本シミュレータにおいて表現可能な段階まできている.
一方,実験的アプローチにおいては,昨年度に獲得した琉球石灰岩の強度試験データの分析を進めるとともに,強度差のあるセメントモルタルを利用し,岩盤における不連続面を模擬した2相セメントモルタルモデルを制作した.その結果,岩盤の不連続面におけるき裂進展挙動に関して特徴的な解(挙動)を見出した.また,水銀圧入式ポロシメータを利用することで琉球石灰岩特有の微細空隙構造分布を取得することができた.これらの結果は,解析シミュレータの基礎データとして直接的に用いることが可能であり,琉球石灰岩の破壊現象の解明に直接的に繋がるものと考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,計算力学的なアプローチと実験的なアプローチを併用することで,琉球石灰岩のための高性能破壊力学シミュレータを開発しようとするものである.
平成24年度は,計算モデルにき裂ネットワークモデルを新たに取り入れることで,より現実に近い形の岩盤モデルを創り上げることができている.さらに,実験において得られた材料パラメータ(ヤング率,ポアソン比,空隙率等)は本シミュレータに直接的に導入されていることから,高性能な破壊力学シミュレータの開発が順調に進んでいると考えている.これらの結果は,論文という形で公表されている.また,不連続面を有する岩盤の実験モデルについては,強度差のあるセメントモルタルを用いた実験モデルを作製することにより実現できている.以上のとおり,本研究は概ね順調に進んでいると考えている.

今後の研究の推進方策

前年度までに作製したシミュレータと実験結果を利用して,琉球石灰岩のようなき裂性・多孔質性岩盤の破壊挙動について議論する予定である.また,岩盤崩落現象のような大変形挙動も扱えるような手法の組み込みも同時に議論する予定である.これらのシミュレーションにおいては,前年度までに得られた実験結果すべてを直接的に導入する予定であり,琉球石灰岩の破壊現象の解明に資するシミュレータを実現する.

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は,琉球石灰岩の破壊現象について解析的および実験的視点から考察し,主に,国内外のジャーナルや学会等で積極的に発表する.以下に研究費の使用計画を記す.
●物品費(\140,000):研究図書(岩盤分野における専門書・解説書)
●旅費(\400,000):「5TH ASIA PACIFIC CONGRESS ON COMPUTATIONAL MECHANICS & 4TH INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON COMPUTATIONAL MECHANICS」等への参加旅費
●その他(\60,000):(1)論文校閲,(2)学会参加費

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Multi-dimensional Moving Least Squares Method Applied to 3D Elasticity Problems2013

    • 著者名/発表者名
      Kohei Sakihara, Hitoshi Matsubara, Taka-aki Edo and Genki Yagawa
    • 雑誌名

      Engineering Structures

      巻: Vol. 47 ページ: 45-53

    • DOI

      10.1016/j.engstruct.2012.05.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 粒状構造を有する脆性材料の離散き裂進展解析手法の開発および性能評価2013

    • 著者名/発表者名
      江戸孝昭,松原仁,原久夫
    • 雑誌名

      土木学会論文集C(地圏工学)

      巻: Vol.69 ページ: 31-45

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 付帯条件付き多次元移動最小自乗法とエレメントフリーガラーキン法における境界条件の精度2013

    • 著者名/発表者名
      崎原康平,松原仁,江戸孝昭,矢川元基
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集

      巻: Vol. 79, No. 797 ページ: 100-104

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 風化サンゴ骨格の破壊強度とその性状:微細孔と孔内液圧の影響2012

    • 著者名/発表者名
      松原仁,原久夫
    • 雑誌名

      土木学会論文集C(地圏工学)

      巻: Vol. 68, No. 4 ページ: 610-620

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 岩盤のき裂ネットワークを考慮した不連続体解析手法の提案およびき裂進展解析2012

    • 著者名/発表者名
      松原仁,江戸孝昭,原久夫
    • 雑誌名

      日本計算工学論文集

      巻: No.20120017

    • 査読あり
  • [学会発表] Crack Propagation Model for Discrete Fracture Network based on GFEM and MLSM2012

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Matsubara, Takaaki Edo and Hisao Hara
    • 学会等名
      Proceedings of the 4th international conference on computational methods
    • 発表場所
      Gold Coast, Australia
    • 年月日
      20121125-20121128
  • [学会発表] Numerical simulation of fracture network in rock based on GFEM and MLSM2012

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Matsubara
    • 学会等名
      KSME-JSME Joint Symposium on Computational Mechanics & CAE 2012
    • 発表場所
      Kanazxawa, Japan
    • 年月日
      20120912-20120912
    • 招待講演
  • [学会発表] Large-scale simulation for fracture pattern of brittle porous media in Compression2012

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi MATSUBARA, Taka-aki EDO, Ryuji SHIOYA and Genki YAGAWA
    • 学会等名
      Proceedings of 10th World Congress on Computational Mechanics (WCCM)
    • 発表場所
      Sao Paulo, Brazil
    • 年月日
      20120708-20120713
  • [学会発表] An application of Multi-dimensional moving least squares method to 3D crack analysis2012

    • 著者名/発表者名
      Kohei SAKIHARA, Hitoshi MATSUBARA, Ryuji SHIOYA and Genki YAGAWA
    • 学会等名
      Proceedings of 10th World Congress on Computational Mechanics (WCCM)
    • 発表場所
      Sao Paulo, Brazil
    • 年月日
      20120708-20120713
  • [図書] やわらかい南の学と思想5,知の源泉(分担執筆:「安全で安心できる暮らしを手に入れるために-自然災害と計算科学技術」)2012

    • 著者名/発表者名
      松原仁他29名,琉球大学編集
    • 総ページ数
      443
    • 出版者
      沖縄タイムス

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公開日: 2014-07-24  

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