研究課題/領域番号 |
23760431
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
長谷部 寛 日本大学, 理工学部, 講師 (60366565)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | VMS-LESモデル / PIV解析 / 流れの変動成分 / MPI/OpenMPハイブリッド並列計算 |
研究概要 |
平成23年度は主として,正方形角柱まわりの流れの流速測定を実施した.本予算で新たに購入したハイパワーレーザを用いることで,従来のレーザーを用いた場合よりも遥かに鮮明な可視化画像が得られ,PIV解析の精度向上が図れた.PIV解析を実施し,流れの微細スケールの変動成分を評価した.また,PIV解析の結果を補完するために,熱線流速計を用いた面的な流速測定も実施し,より詳細に正方形角柱まわり流れの変動成分に関する情報が得られた.これらは平成24年度にVMS法の微細スケールの新たなモデルを構築する際に,必要不可欠な参照データとなる. 流速測定と並行して,VMS-LESモデルの微細スケール近似法の適用範囲をパラメトリックに検討するため,以前に構築したVMS-LESモデルに基づく解析コードを,より大規模な並列計算へと適用させるための改良を施した.これは,当初の研究計画には含まれていない内容であるが,当初の計画どおり既往の解析コードを用いてスーパーコンピュータによる大規模並列解析を実施した結果,既往のコードがスーパーコンピュータの演算能力を最大限に発揮できるまでのチューニングがなされていなかったため,解析時間が想定よりも多く要することが判明したことにより実施した内容である.具体的には,これまではMPI並列計算ライブラリのみを用いて解析コードは構築されていたが,OpenMP並列計算ライブラリを併用する形式を採用し,解析時間の短縮が達成されるよう改良を試みた.現時点では,パラメトリックな解析を実施するまでに至っていないが,平成24年度にパラメトリックな解析を実施する素地は築けたといえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績に記したように,当初の予定では,以前に構築したVMS-LESモデルに基づく解析コードを用いたパラメトリックな解析から,VMS-LESモデルの適用範囲の検証を行う予定であったが,計算時間の観点から解析コードの改良が必要と判断したため,当初の予定には含まれていなかった,大規模並列計算を実施するための解析コードの改良を試みた.そのため,モデルの検証が当初の予定よりも遅れている.しかし,解析コードの改良を行ったことで,平成24年度当初に前年度の消化できる見込みは立っている.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に改良したVMS-LESモデルに基づく解析コードを用いて,正方形角柱まわりの流れを対象に,モデルの適用範囲に関する検証を行う.解析の検証結果については,平成23年度の流速測定で得られたデータを活用する.その後,当初の計画どおり,モデルの改良を実施する.モデル化の方針としては,Hughes らの微細スケール近似方法を踏襲し,方程式の残差とモデルパラメータの積の形で微細スケールを近似するが,微細スケールのサイズを広く取った場合の近似方法として,摂動級数の複数項を用いてモデルパラメータを算出する方針をとる.摂動級数の項数およびメッシュサイズをパラメータとして検証を行う.その結果に基づき,橋梁断面まわりの流れへの適用性を検討する.なお,橋梁断面まわりの流れの検証データ取得のために,PIV解析を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,パラメトリックな解析とモデル化の検討が中心となることから,解析データの容量が膨大になることが想定される.そのため,データ保存用の外付けハードディスクおよびデータ保存メディアを多く購入する.また,橋梁断面まわりの流れの検証データ取得のためのPIV解析では,可視化実験を実施する必要があるため,可視化溶剤や実験模型材料代などを購入する. 本研究の成果を,2013年2月にアメリカで開催される国際会議International Conference on Finite Elements in Flow Problems (FEF 2013) にて発表することを計画しており,そのための旅費を計上する.
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