平成24年度は,PIV解析を用いたより詳細な正方形角柱まわりの流れの流速測定と,VMS法の微細スケールの新たなモデリングを検討した. PIV解析では,平成23年度よりも撮影(解析)範囲を狭め,より微細な流速変動を捉えることを念頭に置いて可視化実験を進めた.その結果,特に,流れの剥離せん断層近傍の領域の微細な流速変動に関するデータを蓄積することができたが,物体ごく近傍の領域ではPIV解析に用いるシーディング粒子の濃度が十分に高められなかったことから,取得データの精度に課題が残った. VMS法における微細スケールの新たなモデリング法を開発するため,正方形角柱まわりの流れを対象に解析を進めた.従来のHughesらの提案したモデリング法を用いて解析を行った結果,レイノルズ数100,1000の場合は角柱に作用する空気力を妥当に評価した. その後,より高いレイノルズ数の流れについても精度の良い結果を得るため,モデリング法の改良を進めた.具体的にはCodinaらの提案したtime dependent sub-scaleモデリング法を採用し,その改良に取り組んだ.Codinaらの方法は,要素のガウス積分点において流れの微細変動成分を評価し,Hughesらが考慮しなかった微細変動成分の時間微分項を含めてモデリングし,微細変動成分を時間発展的に扱うものである.本研究では,ガウス積分点数と解析精度の関係に着目し,検討を進めた.現段階では,解析を進めている最中であり,最終的な結論は得られていないが,壁面近傍では積分点数を増やすことでより精度の良い結果が得られるのではないかと考えている.
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