研究課題/領域番号 |
23760441
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
ピパットポンサー ティラポン 東京工業大学, 学術国際情報センター, 准教授 (10401522)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 地盤工学 / モニタリング / 土質力学 / 模型実験 / 応力分配 / アーチ効果 / 荷重分布 / 主応力軸 |
研究概要 |
本研究の初年度には、実際の現場に適用するモニタリング方法を展開していくために、実測に必要な道具・テクニックと解析に必要なパラメータ・入力データを調べて、模型実験を中心に、研究データを集め、基本的なノウハウに関して準備した。模型実験に使う珪砂の強度・材料特定を測定するとともに、多数の超小型土圧計、砂丘の支持面、砂谷の土槽、斜面フレーム、擁壁模型、PIVカメラなどの実験に必要な装置を揃えた。まず、単純な境界条件をもつ砂丘、砂谷、斜面、土留め擁壁に対して、それぞれ模型実験を実施した。地盤内における主応力軸の仮定した場合の応力分布の理論解と実験結果を比較・検討し,以下に述べる成果を得た。ラーメ・マックスウェルの平衡条件式に基づく砂丘底面の荷重分布についての理論解を求めた。異なる形成手法によって作られた砂丘・砂谷の地盤内の応力分布を比較すると、それぞれの結果が若干違うことから、砂丘・砂谷底面の応力分布は形成過程に依存することがわかった。砂丘及び砂谷に関する具体的な問題に対して、空中降下法と網ふるい降下法、境界壁面撤去法のそれぞれで比較することによって形成過程が応力分布へ与える影響を実験的に確認した。実験結果と理論解の分布形は同様な傾向を示すことも検証された。把握した荷重伝達メカニズムに従って、平衡条件式を満たすような解析理論を構築して、アーチ効果理論を援用した数理的手法を開発した。一方、現場での実行可能性を早期に検討するために、円筒型空中石膏プラスターの強度を収集した。脆性材料を対象とする供試体の引張り強さのデータを収集する手法として、圧裂引張試験を実施し、養生期間、水プラスター比、中空比率などの影響を把握するために、鉛直変位の一定速度で与えた中実円筒型および中空円筒型の石膏プラスターの破壊荷重を求め、フィールドへの適用性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
模型内に挿入したストローおよびスポンジブロックの変形を画像処理で分析する計画したが、実際には砂の粒子はストロー・スポンジブロックと土層前面のガラス面との間に入ってしまうため、PIVに必要となる質の高い画像が撮影できなかった。この問題点を解決するため、斜面模型に関する実験手法について再検討している。
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今後の研究の推進方策 |
当初,想定していなかった実験の問題を解決するため、地盤内に挿入した円筒物体の変形過程を、Photoshopなどの画像処理ソフトを利用して、撮影した画像解析から主ひずみの方向を測定できるかを検討する。また、それに基づく主応力の方向を表現することができるか、連続体力学の理論と数値シミュレーションを用いて検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
斜面表面に挿入した中空円筒の亀裂・変形による主応力軸線を画像処理で推測することが検知可能かどうかを見極めるため、高性能パソコン及び実験用消耗品を購入し、室内実験・模型実験を行う。最後に、本研究成果を取りまとめ、研究結果を発表するため、旅費を使用する。今年度の執行額に残額が生じた状況:去年の震災の影響で,研究計画の一部を実行できなかったため,残額652,142円をハンドヘルドデータロガー及び関連消耗品を購入し,現場実験を実施する。
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