研究課題/領域番号 |
23760443
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 正太郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70346815)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 再液状化 / 液状化 / 異方性 / 粒度 / 粒子形状 |
研究概要 |
異方性と再液状化抵抗の関係について調べるために、以下の二通りの系統的な実験を行った。●液状化履歴を受けた硅砂の単調および繰返し非排水せん断試験 三軸試験装置を用いて硅砂に液状化履歴を与えた上で、単調および繰返し非排水せん断を行った。液状化試験の停止位置を変化させることで、液状化中に生じる異方性の変動の様子と、液状化終了時の異方性の発達状態が再液状化抵抗に与える影響について示した。さらに,より一般的な応力条件下における異方性の影響について明らかにするために、中空ねじり試験装置を用いて、異方性の発達方向と主応力方向の関係が液状化抵抗に与える影響について調べた。その結果、堆積面に平行な方向に最大主応力軸があるような状態でせん断を行うと、ゆるい砂に似た挙動が現れ、液状化しやすいことを明らかにした。●種々の試料を用いた再液状化実験 数種類の試料を用意して、再液状化のしやすさを比較した。特に、粒度と粒子形状を影響因子として取り上げ、どのような特徴を持った砂質土が再液状化を引き起こしやすいか系統的な実験によって見極めた。実験の結果、(1) 粒度よりも粒子形状の方が異方性の発達のしやすさに与える影響が大きいこと、(2) 粒子形状が丸みを帯びた試料ほど異方性が発達しやすいこと、(3) 粒子形状が丸みを帯びた試料は液状化終了時に異方性が高位に発達している可能性があるため、粒子形状が角張った試料よりも再液状化する可能性が高いこと、などが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初立てた計画では、初年度は実験的研究を実施する予定であったが、計画に沿っておおむね順調に研究が進展している。具体的には、実験的な手法によって、(1) 液状化履歴に伴う液状化抵抗の増減メカニズムの把握と、(2) 試料による再液状化のし易さの違いに関する考察を実施した。(1)では、主応力方向と異方性の発達方向の関係が再液状化抵抗に与える影響について把握を試みているが、これについては現在も進行中であり、次年度も継続して行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成23年度に実施した実験結果を補う実験を継続して実施すると共に、以下に掲げる解析的研究に積極的に取り組む。● SYS Cam-clay modelの異方性の合理的な発展則の考案 平成23年度に実施した実験結果を元に、液状化中に生じる異方性の変動が適切に表現できる弾塑性構成式を構築する。これは、骨格構造(構造・過圧密・異方性)の変化を記述可能な弾塑性構成式SYS Cam-clay modelの異方性の発展則を見直すことで成し遂げる予定である。改良した構成式の性能は、要素試験結果の再現を試みることで確認する。また、異方性の発展速度を変化させることで、平成23年度に調べた粒子形状や粒度の異なる砂質土の挙動を表現することを試みる。●水~土連成有限変形解析による再液状化現象の数値シミュレーション 水~土連成有限変形解析プログラムに構築した構成式を組み込んだ上で、再液状化解析を実施する。2次元解析で異方性の影響が顕在化してこない場合を想定して、3次元解析にも取り組み、多様な方向性を持った地震動を入力することを試みることも視野に入れる。また、モデルの材料定数や状態量を変化させることで、自然堆積地盤と埋立て地盤を模擬し、両地盤の再液状化特性について議論する。要素レベルの実験結果を反映して、粒径の揃った砂が自然堆積した地盤では容易に液状化も再液状化も生じる一方で、細粒分を含む砂質土で埋め立てられた地盤では液状化は生じるものの、再液状化は生じにくいことなどが示されると予想している。
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次年度の研究費の使用計画 |
中空ねじり試験装置でより高度な計測と制御を行うために必要な計測装置と制御装置の購入予算を計上する。実験に必要な消耗品を購入するのに必要な予算も計上する。また、数値解析を実施するのに必要なコンピュータやハードディスク、ソフトウェアなどの購入に必要な予算を計上する。さらに、研究成果を公表したり情報を収集するために必要な、論文投稿費や旅費を計上する。
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