研究課題/領域番号 |
23760445
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
川口 貴之 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20310964)
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キーワード | 凍結融解 / 透水係数 / 液性限界 / 凍上 |
研究概要 |
本年度は主にキュービック凍上試験装置ならびに透水試験装置を駆使し,凍結融解履歴を受けた土要素の透水係数ならびにその異方性についてと,凍結融解履歴は細粒土の基本物性の一つである液性限界に与える影響について検討した.その結果,前者(透水係数)については試験に使用した風化火山灰では凍結融解履歴によって生じる透水係数の変化が主として凍結融解履歴に伴う密度変化によること,更には特にアイスレンズが進展する水平方向の透水係数が劇的に変化するといったことは起きないことが確認された.ただし,これについては選択した試料におけるアイスレンズの形状がそれほど層状に発達するタイプではないため,次年度では水平方向への進展が明確な試料を用いて実験を重ねる予定である.次に,後者(液性限界)については,凍結融解履歴による液性限界の変化が明確に解釈できる試験方法を開発し,これに基づいて複数の試料を用いて検証したところ,凍結融解履歴によって液性限界が上昇する試料と減少する試料があることがわかった.また,そのメカニズムを検証するために凍結融解の前後で粒度試験を行ったところ,減少するものについては団粒化が生じ,増加するものについては細粒化(分散)が進んでいる可能性が見いだされた.このメカニズムを解明することは,凍結融解による強度変化メカニズム解明にも寄与すると思われるため,本年度は分散剤の量などにも着目し,より多くの試料を用いて検証していきたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キュービック凍上・透水試験における試験方法の開発も順調に進み,一面せん断試験装置の開発も終わったが,一面せん断試験については最終年度での実施となるため,(2)を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
キュービック凍上試験装置で作製された供試体を用いた透水試験については,アイスレンズのでき方が水平方向に特化した試料を用いて継続的に進めていく予定である.また,液性限界については,サクションや保水性といった点にも着目しながら,力学特性へ与える影響を解明することを念頭に,多角的に実験を重ねる予定である.さらに,装置の開発が終了した一面せん断試験装置については,試験方法の確立から始め,アイスレンズに伴う強度異方性の解明を目指して実験を重ねていきたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は一面せん断試験装置において,載荷装置部分を現有品で代用することや,締固めと透水モールドとを共有化させたことで,予定していた試験が安価で実施できたため,これに伴って繰越金が生じた. 次年度においては,これらの繰越金を凍結した一面せん断試験用供試体を融解させ,スムーズにせん断箱内にセットできるようにするための治具の作成や液性限界の変化をより詳細に把握するための装置の購入費に充てたいと考えている. また,最終年度であるため,成果公表のための旅費や紙面での成果公表に関する投稿料や校正料にも使用する.
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