研究課題/領域番号 |
23760450
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
猿渡 亜由未 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00563876)
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キーワード | 流れの可視化 / 粒子-流体相互作用 / 底面近傍流れ |
研究概要 |
本研究では海底面を構成する砂などの粒子と波浪下の流れ場の相互作用を通した乱れの生成過程を明らかにする事をゴールとして研究を行っている.本年度行った実験は水路幅10 cm,高さ60 cm,水路の水平部長さ60 cmの小型振動せん断流装置内で行い,装置内部の流体と粒子の運動を画像計測により測定した.画像計測には本事業において前年度までに開発済みの可視化法,即ち,海底砂のモデルとしてシリカゲル粒子(屈折率:1.46)を,流体としてよう化ナトリウム水溶液(屈折率:1.33から1.49の間で調整可能)を用い,両者の屈折率を一致させることにより底面を構成する粒子を透明化し,一部に着色粒子を混入しておくことにより通常可視化計測する事が不可能な底面内部の粒子を可視化し画像計測を行った.平成23年度までの研究では底面粒子の速度計測は行えていたが,流体側の流速はよう化ナトリウム溶液(比重約1.6)に対する適当な中立粒子がみつからなかった為に測定する事ができていなかったが,24年度は溶液の比重に相当する粒子を発見し,流速場を測定する事ができた.固定底面の際とは異なり粒子底面内部から粒子速度と流速場が連続的に遷移する様子が測定された.粒子層と流体部分とで特に速度の鉛直勾配に違いが表れた.本結果はこれまでの測定方法では得る事ができなかったものであり,粒状底面近傍の流れ場の発達過程を理解するにあたり重要なデータを得る為の測定法が完成したと言える.現在のところ測定できたケース数が少なく粒子と流体の相互作用に伴う乱れの発達過程について検討する段階ではないが,次年度更に実験条件,試行回数共に増やしていくことによりこれについても明らかにしていきたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では平成24年度は小型振動せん断流装置内で種々の周期,振幅の振動流を発生させた際の流体と粒子の運動を画像計測し,乱れの発達を流れ場の条件によりパラメータ化する予定であった.しかし実験のセットアップに予想よりも時間を要してしまい,年度の終わりまでには限られた振動流条件で数回の測定ができたのみであり,乱れのパラメータ化には至らなかった.来年度追加実験を行う事によりパラメータ化を進めたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究事業のメインパートのひとつであり,当初平成24年度に完了する計画であった粒子底面近傍の乱れの定量化とパラメータ化が十分に達成されていない為,25年度も引き続き前年度の小型振動流装置を用いたセットアップにて実験を継続する.現在撮影した連続画像中の粒子をトラックする事により速度場を計算しているが,最終的には粒子と流体の速度の乱れを求めたい為,速度測定の精度をより向上させる為計算法の改善も行う.その後振動流れの周期,最大流速等を種々に変化させた条件下で流れ場の測定を行い,乱れのパラメータ化を行う.24年度に既に限られた流れ条件でのみではあるが流体及び粒子の運動の画像計測には成功しており,今後はスムーズに実験を進めていけると考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度研究費はよう化ナトリウム,液相中立粒子,中立粒子及び底面シリカゲル粒子の着色用塗料等の購入の為に使用する.また,研究成果を国内外の学術雑誌に発表する為の投稿費用,学術会議参加費用としても使用する.
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