研究課題/領域番号 |
23760450
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
猿渡 亜由未 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00563876)
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キーワード | 海底砂輸送 / 波浪推算モデル / 流れモデル |
研究概要 |
本年度は本研究の最終目標である波浪や流れの下での海底砂輸送予測モデル構築のための準備を行った.砂の挙動を予測する際に入力値として用いる波浪による海底面軌道流速は,デルフト工科大学において開発された波浪推算モデルである Simulating Waves Nearshore (SWAN) を用いて予測する.海底砂の挙動の予測の際に入力値として用いる波浪による海底面軌道流速と流れによる流速はそれぞれデルフト工科大学において開発された波浪推算モデルである Simulating Waves Nearshore (SWAN) と,マサチューセッツ工科大学において開発された流れモデルである MIT general circulation model (MITgcm) を用いて予測する.本年度は本波浪モデルにより過去の実海域における波浪・流れ場を再現するための計算環境のセットアップを行うとともに,日本近海における波浪と流れ場の追算並びにその再現性の検証を行った.ここで,海底砂輸送予測モデルにおいて海底面における流速場を正しく見積もることが必要不可欠である.本研究では実海域スケールの計算グリッドを用いた流れ場の計算において海底面の境界条件を正しく与えるために Immersed Boundary Method を用いて境界条件を与えた.更に,波と流れの共存場における波-流れ間相互作用による海底近傍流速の変化についても調査した.以上のように本年度は海底砂の輸送を駆動する実海域における波と流れによる海底流速を正しく予測する方法を構築し,海底砂輸送予測モデルを構築するための準備を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では 25 年度は大学院生とともに波浪下の底面砂の輸送に関する更なる可視化実験を行うことになっていたが,当該院生の急な休学等の理由により 26 年度に行う予定であった研究計画の方を先に進めた.26 年度は 25 年度に行う予定であった実験を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
海底砂の輸送予測モデル構築を更に進めていく.流れ場の下での底面粒子の挙動と乱れの生成に関する可視化実験を追加で行う.また実験結果から砂粒子の移動量等を底面流速をパラメータとしてモデル化するとともに,波浪,流れモデルに入力し,その影響を調査する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初25年度に行う予定であった可視化実験自体は年度の途中で一時中断してしまったが,実験に使用する薬品等は最初に購入していたため,ほぼ予定通りに予算を執行した.次年度は購入済みの薬品を用いて実験を進めていく予定である. 可視化実験を行うために必要なヨウ化ナトリウム,シリカゲル粒子,中立粒子,トレーサー粒子着色用の塗料等を追加購入するために使用する.また,研究成果を国内外の会議や学術雑誌に発表するための投稿料,発表旅費等にも使用する予定である.
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