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2011 年度 実施状況報告書

混合粒径海浜の安定性に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23760453
研究機関独立行政法人港湾空港技術研究所

研究代表者

高川 智博  独立行政法人港湾空港技術研究所, アジア・太平洋沿岸防災研究センター, 研究官 (30451785)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード漂砂 / 砂礫混合土砂 / 海浜地形 / RFIDタグ
研究概要

砂礫混合海浜の安定性を適切に評価あるいは向上させることは,海岸の保全に資するばかりでなく,複数の粒径土砂の相互作用が海浜地形に及ぼす効果を解明する学術的にも重要かつ興味深い課題である.本研究では海岸の礫に非接触で個体識別が可能なRFID (Radio Frequency Identification)タグを埋め込み,個々の粒子レベルで長期間移動経路を追跡することにより,複雑な混合土砂の挙動を正確に把握するとともに,現象の解明をすすめるものである.本年度は,RFIDを現地海浜より採取した礫に埋め込み,アンテナによる探知性能について室内試験によりその探知能力を測るとともに,現地海浜にタグ礫を投入し,1ヶ月間,計7回に渡り,礫の移動を追跡した.その結果,RFIDを用いた追跡では,礫の探知効率が目視探査に比べて約4倍となり,大幅に調査効率が向上した.同時に実施した高精度GPSによる海浜断面地形測量結果と波浪観測情報を合わせ,堀川ら(1975)によって提案された海浜断面形態に関する無次元パラメーターをもとに観測結果を整理した.その結果,現地砂礫混合海浜では,均一粒径の結果に基づく既往研究の結果と全く異なる土砂移動の傾向があきらかになった.これは,高波浪時と低波浪時で動きうる土砂の粒径分布が変化するために,地形変動を代表する粒径がたとえ同じ海浜であっても,波浪条件によって変化するためであることを示していると考えられる.このように本研究ではRFIDを海浜の土砂移動追跡という新しい分野に導入し,土砂追跡効率を大幅に向上させることに成功するとともに,追跡された移動経路から混合土砂海浜の安定性に関する新しい知見を得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は,RFIDシステムについて,現地海浜への適用に有効な周波数やアンテナ,タグ種別に関する検討を室内実験により行い,現地適用可能な探査システムを構築した.さらに,実際の海岸礫にタグと封入し,現地海浜において1ヶ月間にわたり礫の移動追跡を行う実証実験を行い,目視による探知に比べ,礫の発見効率が約4倍と,大幅な調査の効率化が可能であることを確認した.また,得られた成果を均一粒径場に関して既往研究で提案されているの海浜地形変動を代表する無次元パラメーターで現象を整理したところ,現地混合海浜場特有の現象が見つかり,混合海浜の安定性を適切に評価,あるいはモデル化する上で重要な知見が得られた.このように,当初計画されていた室内での実験に加え,現地での実証試験も推進し,研究の本質に迫る重要な知見が得られつつあり,当初計画以上に研究が進展したと評価できる.

今後の研究の推進方策

前年度までに開発したRFIDシステムを活用し,観測情報を蓄積することで,さらに現象を高精度に把握する.これにより,混合海浜の地形変動を規定する新たな無次元パラメーターを提案し,複雑な粒径間の相互作用による海浜地形の応答特性に対する理解を深化させ,適切なモデル化を行う.

次年度の研究費の使用計画

現地調査旅費,RFIDシステムに関わるタグ等の消耗品購入費,最新の観測機器および研究成果に関する情報収集・情報交換・研究成果の発信を行うための学会参加旅費として研究費を使用予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] RFIDを用いた砂礫混合海浜における礫の移動機構の解明2012

    • 著者名/発表者名
      袰川龍一・高川智博・佐藤愼司・長坂陽介・山中悠資
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 68 ページ: 491-495

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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