本研究ではLESを用いた数値解析により、大気混合層及び都市接地境界層の発達下での都市キャノピー層の乱流特性について検討を行った。本計算によって再現された大気混合層の乱流特性として、速度分散に関して既往の平原での観測結果との相似性が見られた。大気混合層下のキャノピー層内の乱流変動の空間分布形状に関しては、個々の建物よりも十分大きな構造を形成していることが分かった。これは接地境界層で発達している筋状乱流構造の直接影響を受けているためであり、特にキャノピー内から上空への熱・運動量の輸送については建物配置よりも上空の低速ストリークの通過によって引き起こされている傾向が見られた。一方上空からキャノピー内への運動量・熱輸送に関しては建物形状に規定されており、流れ方向に沿ったストリート上で主に生じている傾向が見られた。
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