研究課題/領域番号 |
23760456
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
横嶋 哲 静岡大学, 工学部, 助教 (80432194)
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キーワード | 水工水理学 / 計算流体力学 / 環境流体力学 |
研究概要 |
円柱群を過ぎる流れを古典的な抗力モデルと組み合わせたラージ・エディ・シミュレーション(LES)で再現し、対応する実験結果との詳細な比較を通じてLESの有用性、古典的抗力モデルの問題点を検討した。 LES+古典的抗力モデルによって再現された流れは平均流構造だけでなく瞬時流れで観察される大規模渦構造の基本特性についても定性的に良好に再現できることが確認された。定量的な不一致の最大の原因は、抗力係数という本来は時間的にも空間的にも大きく揺らぐ量を古典的抵抗モデルではただひとつの値で近似する点にあると考えられ、この点を改善することでより信頼性の高い数値シミュレーション技法として、工学的用途でも広く利用されることが期待できる。 円柱群のサイズや配置を系統的に変化させた数値実験を繰り返し行い、水路に円柱群を設置する場合に、水路中央よりも水路側壁付近に設置することで流れへの抗力を低減でき、流量低下を和らげられることを、シンプルな河川流を模した直線水路において見出した。この理由のひとつは流速の低い領域に円柱群(抗力源)を設置することで抗力を低くできるためと思われるが、他方で、側壁の存在のために水路横断方向の運動量輸送が抑制されることもまた主要因と考えられる。この知見は実河川に水制を設置する場合や、河道に繁茂する樹木群管理において参考に値する。 また、本研究をより効果的に進めるために、使用する計算コードの高速化も精力的に行い、より大規模な系をより短時間で精度よく計算機上に再現できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
古典的抗力モデルを用いた数値シミュレーションは順調に行えた反面、円柱群の個々の円柱を解像するより高精度な数値シミュレーションの準備(コードの修正および高計算負荷に耐えるための高速化作業)に予定以上の時間を要したため、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
円柱群の個々の円柱要素を直接解像した数値シミュレーションを実施する。個々の円柱要素に作用する流体力から抗力係数を算出し、抗力モデルの改良に供する知見を獲得する。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越が生じた理由は、今年度に獲得した他の科研費と研究費の支出用途が重なったためである。 未使用額は主に数値解析プログラムの更なる高速化・並列化作業委託の経費に充てる予定である。本研究では、予算制約のため、これまで研究代表者がその能力の範囲内でプログラムの高速化・並列化を進めてきたが、その作業を専門家に委託することで、申請者は本研究の核心部分に集中できるようになり、研究のより効果的な遂行に寄与する。
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