研究課題/領域番号 |
23760463
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
有田 守 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80378257)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ステレオ画像 / 離岸流 |
研究概要 |
本研究では,本学所有の離岸流観測気球に2台のカメラを取り付けステレオ画像撮影を行,地上より撮影画像を観測する装置の開発を行う.そのため,本研究で使用するステレオ画像装置を本学所有の空撮用気球に設置するための,治具および加工の作業と動作確認を6,7月に実施した.使用した機材は,カメラ(CANON EOS)とカメラジンバル,気球雲台,画像転送装置を本学所有の離岸流観測用の気球(全長12m)に取り付け浮力,機器の動作確認テストを行った.鳥取県浦富海岸において,9月4日から9月11日に離岸流場周辺の水位変動特性の観測を行った.観測期間中に明確に発生した離岸流は,確認することが出来なかったが,気球に搭載したステレオ画像装置によってカメラの位置や姿勢の解析は正常に行うことができた.ステレオ画像法を用いて3次元計測を行う際には,三角測量の原理を応用しているために2台のカメラ間を撮影距離の1/10以上とる必要がある.本学所有の気球は,地上から100m程度の位置に係留したが,風の状況によては,計測対象物までの距離が大きくなる可能性があるので,気球に取り付けたカメラから撮影対象物までの距離を詳細に検討する必要が,実測によるテストで妥当であることが検証出来た.しかし,気球に搭載した治具による画角の影響でステレオ解析を行う際に画像変換の必要があることがわかった.今後,治具の改良と画層変換ツールの作成が必要であると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気球に搭載する画像装置の開発を行った. 2台のカメラ同期システムは,シャッターのタイミングを同一にする必要がある.シャッターの同期は,地上から送信された信号を気球に設置した画像転送装置で受信しシャッター信号を2台のカメラに送信することで同期撮影を行うが,2台のシャッターのタイミングが一致しており良好である.9月4日から9月11日に行った,鳥取県浦富海岸の実測では,キャリブレーション実験を行った.ステレオ画像法を用いて3次元計測を行う際には,三角測量の原理を応用しているために2台のカメラ間を撮影距離の1/10以上とる必要がある.本学所有の気球は,地上から100m程度の位置に係留するが,風の状況によては,計測対象物までの距離が大きくなる可能性があるので,気球に取り付けたカメラから撮影対象物までの距離を詳細に検討する必要がる.本実測により,カメラの内部パラメータ(焦点位置,レンズ歪み係数)と外部パラメータ(カメラに姿勢,位置)を正確に算出されることが確認出来た.本実測では,明確な離岸流の発生が確認出来なかったため,水位変動の計測に泣いたら無かった.画像計測装置は,2台のカメラの光軸を平行にする必要があるが,計測装置の問題で2台のカメラの光軸が平行になっていないことが確認出来た.この問題に対しては画像の修正と計測装置の改善で問題を解決する必要があることが分かった.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,23年度で作成した気球3次元計測装置により離岸流場周辺の水位計測に主眼をおいて研究を行う.*計測装置の調整 23年度に行った計測装置に関して,実測での問題点の抽出を行い問題がある箇所,例えば外部パラメータの算定精度に関して,改良を加える.現状の外部パラメータ算定手法は1次評定までしか行われおらず,外部パラメータの算定精度が悪い可能性があり,2次評定が必要であればソフトウエアの改良を試みる.離岸流発生場の平面的な水位勾配は,数百mで数10cmという報告(佐々木ら19997)もあり水位勾配の空間分布形状とカメラの撮影範囲(レンズの選定)が重要になると考えられ,浦富海岸における離岸流と水面の勾配の空間分布によりレンズ,カメラ間距離,気球の高度を調整して実測を行う.*実測 離岸流の実測に際して,空間的な水位勾配の分布と離岸流の強さに関して実測を行うこととする.また,沖波の波浪条件は時々刻々変化するために,離岸流強さと空間的な水面勾配の分布が時間的にどのように変化するのかを計測,考察する.
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次年度の研究費の使用計画 |
画像計測装置の改良を行うため,アルミフレームの治具の改良を行う.また,カメラジンバル装置に関しても新規の購入を検討している.実測に関しては,昨年度通り9月の上旬に観測を行う予定である.
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