研究課題/領域番号 |
23760464
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
金 洙列 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60508696)
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キーワード | 台風モデル / 気象モデル / 高潮 |
研究概要 |
気象モデル (WRF) と SuWAT を結合した高潮予測システムを開発するために,緯度・軽度方向に1° 間隔および6時間毎(0, 6, 12, 18 GMT) である再解析値 (Final Analysis: FNL)データをWRFの入力データとして取り込み,WRFとSuWATを結合した.本研究では,気象モデル (WRF) とSuWAT を結合した高潮予測システムの推算精度の向上化を図るため,申請者のMPI (Message Passing Interface)を利用した並列計算や結合モデルを構築する技術を用いて,気象モデルの格子間隔やnesting計算有無,データ同期化の条件など,計算時間のコスト面も考慮して適切な条件を検討した.その結果,母格子と子格子間のtwo-way nestingや1.3km格子間隔のdownscalingが最も有効であった. さらに,中緯度におけるWRFのパラメータ(惑星境界層スキ ームと雲物理モデル) 感度分析を行った結果,風場と台風経路に最も大きい影響を与えられ,台風気象場の再現計算には適切なパラメータの選択が重要であることを示した. 過去1951-2011年度間に山陰沿岸に影響を及ぼした台風を再現計算し気象場と高潮等のデータベースを構築した.このデータベースは台風のベストトラック,中心気圧,台風移動速度等であり異常水位変動の予測システムを構築する時に基礎資料として使用される.WRFにより再現し構築したデータベースやsatellite dataを用いて地形や台風強度の変化による気象場の変形を考慮した台風モデルの改善を行った. 従来台風のデータベースを作成するために,20km格子の超高解像度全球大気モデル (MRI-AGCM) による最新の温暖化予測実験結果を用いて,将来の気候条件下(2075~2099年)における気象場および高潮計算を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去60年間の台風を再現するために詳細に計算を行う必要があった.その結果,初期計画より時間が掛かったため少し遅れている.その理由で高潮予測システムの構築に必要なEmpirical orthogonal function analysisを現段階で行っている状況である.この時間遅れで,初期計画では平成25年実施予定であった従来気候変動のデータベース作成を過去および現在気候変動の再現計算と並列に行った,つまり,従来の台風計算は20km格子の超高解像度全球大気モデル (MRI-AGCM) による最新の温暖化予測実験結果を用いて,将来の気候条件下(2075~2099年)における台風経路,気象場,高潮等のデータベースをそれぞれ作成した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度では先行研究により構築・開発されている研究より異常水位変動予測システムの完成を目指して研究を進めていく予定である.過去および従来気候変動によるデータベースを完成して確率台風モデルの開発し日本海山陰沿岸に適用する.再現期間は100年100回繰り返しsimulationを行う.さらに,将来想定台風経路に基づいた高潮推算を行い将来日本海山陰沿岸における異常水位変動の変化を評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初24年度予算分と出張のために24年度に申請した前倒し分の中で,25年度に繰り越しした残高と25年度分の研究費は文献(本,論文)等の購入費,論文投稿費,国内・国際学会の研究成果発表の旅費等に使用する計画である.
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